OBが活用、選手に波及
 櫛部静二監督が「これだけ広いルームはなかなかない」と胸を張る環境だが、設置した当初、選手たちは効果に半信半疑で、なかなか足を踏み入れなかったという。

 本格的に利用されるようになったきっかけは、男子駅伝部OBの山口浩勢さんだった。山口さんは同大卒業後、低酸素室に通って練習を重ね、男子3000メートル障害の日本代表に選出されて2021年の東京五輪に出場した。

 ひのき舞台に立つOBの姿を見て、選手たちも慣れない低酸素室での練習に積極的に取り組むようになった。

 とはいえ、屋外での練習とは勝手が違う。低酸素の環境では、どんな速さで、どれくらいの距離を走るのが良いか、試合に向けてどう体調をピークに持っていくのか、櫛部監督は、選手一人ひとりの様子を見ながら試行錯誤を続けてきた。

 低酸素室の導入から4年がたち、活用方法を「確立できた」と自信を持つようになった。

「もっと上、目指せる」
 1~3年生で臨んだ前回の箱根駅伝では9位に入り、5年ぶりにシード権を獲得した。経験者全員がチームに残る今回は、「もっと上を目指せる」(櫛部監督)と、3位入りを目標に掲げる。

 過去最高の6位を大きく上回る目標で、周囲からは無謀だと受け取られることもあったが、低酸素室でのトレーニングを活用すれば十分狙えると考えた。

 そこで、スピードを上げる練習に加え、ジョギングなどの基礎的な練習も低酸素室で行うようにした。選手たちも「これまでは監督に言われた日に低酸素室に入っていたが、今年は主体的に活用している」(4年の野村颯斗主将)という。

 今シーズンに入り、出雲駅伝で3位、全日本大学駅伝で5位と、いずれも同大学史上最高の結果をつかみとった。野村主将は「低酸素トレーニングの成果で、レース後半に粘れるようになった」と手応えを口にする。

 高地トレーニング同等の厳しい環境で練習を重ね、選手たちはさらなる高みを目指している。

読売新聞2023/12/27 11:25
https://www.yomiuri.co.jp/hakone-ekiden/news/20231226-OYT1T50122/