Jリーグが歴史的な変革を決断しようとしている。8月に開幕して冬期中断を挟み、翌5~6月に終了する新日程を掲げたシーズン移行の議論が大詰めを迎え、全60クラブのうち、52クラブが条件付きで賛意を示したことで、19日の理事会で正式に決定する可能性が高まっている。

 シーズン移行が実現すれば、健康リスクをはらむ酷暑の試合数が減り、選手のパフォーマンス向上が図られ、アジア・チャンピオンズリーグや欧州主要リーグとシーズンが一致する利点がある。

 降雪地域を巡って、冬の練習場所や観客動員などで課題は残るが、約10週の冬期中断によって、「実質的な弊害とはならない」(J3富山)。100億円規模の財源を施設整備の契機などと前向きに捉えるクラブは多く、移行に反対したのは新潟のみだった。

 「見えていなかった課題や日本サッカー、Jリーグが抱えている課題を発見できた数カ月だった」と野々村芳和チェアマン。クラブや選手、サポーターと膝を突き合わせて話し合い、強硬な反対論者の意見にこそ耳を傾け、解決策を模索してきた。難易度の高い革新にあって、社会の公共財としての役割を再共有できたのは、丁寧でオープンな意見交換を重ねてきたからだろう。

 移行の流れを決定的にしたのは選手会の賛意表明だった。現行では2月の開幕以降、夏場に向かって選手の強度、スピードが低下していくことがデータで示された。プレーの質、量を保てないどころか、落ちていく。そんなリーグが面白いはずがない。「ファンにもっとハイレベルな試合をお見せしたい」と誰よりも選手たちがずっと葛藤していたのだ。

 もっとうまくなりたい、強くなりたい。選手の欲望は、Jリーグの土台そのものだ。ある実行委員は「課題は多いが、考えは固まった」と言う。

 Jリーグの樋口順也フットボール本部長は声高に訴える。

 「アスリートとして成長できるプラットフォームにJリーグ自体を変えていくことが非常に大事なんじゃないかと思う」

 選手第一の視点は、下部の日本フットボールリーグなど全国への波及と共に、旧態依然とした学校スポーツを見直す突破口になる可能性も秘めていると思う。

12/18(月) 10:17 中日スポーツ
https://news.yahoo.co.jp/articles/f24e6521af8606a70c47ae5c8cc008440c774a93

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