「週刊文春」編集部

 ジャニー喜多川氏による性加害問題の補償がようやく動き始めた。SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)は11月22日に被害者に対し補償額を提示し、合意する元ジュニアも出始めた。テレビ各局も検証番組を放送するなど、業界の変化が進む中で、とりわけ関係の深かったフジテレビは、蜜月関係の見直しに熱心なご様子で……。

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フジテレビとジャニーズ、かつての蜜月

 フジテレビとジャニーズの関係を象徴するのは、同局が4年に一度放送するW杯バレー。1995年のV6を皮切りに、大会ごとにスペシャルサポーターとしてジャニーズのタレントを起用し続けた。嵐、NEWS、Sexy Zoneなどは、いずれもフジのお膳立てでデビューを飾ったグループである。

「そもそもスマイルアップの代表取締役である藤島ジュリー景子さんは大学卒業後、フジテレビに就職していました。ジャニーズ事務所にはフジの局員が何人も出向してきましたし、そのうちの一人の女性は、先日まで役員に入っていたほどです」(事務所関係者)

 フジテレビでは10月21日に社員、元社員への調査に基づく検証番組を放送。〈番組や案件を横断したバーターの要求や、番組の編成や、社員、スタッフの変更等も要求され、対応に苦慮することがあった〉〈事務所を辞めた人はキャスティングしない方がいいのではないかという考えがあった〉などの生々しい証言もあり、確かにフジテレビには“辞めジャニ”の起用を避ける風潮があったことがうかがえる。

 ところが今、局内では潮目が変わり始めたという。

代表的な“辞めジャニ”をドラマでキャスティング

「実は来年4月クールで、ジャニーズ事務所を退所した山下智久さんと錦戸亮さんを、それぞれ別のドラマでキャスティングしているのです」(フジテレビ関係者)

 2020年退所の山下と19年退所の錦戸はともに代表的な“辞めジャニ”だ。かつてはテレビドラマのオファーが引きも切らなかった両者だったが、退所するや、その露出はみるみる減っていった。

「山下はネットフリックスやHuluなど、ネット配信の作品を主戦場とし、錦戸は、音楽活動をメインに据えてきた。NHKは辞めジャニに寛容なので、どちらもドラマに出演したことはありますが、民放地上波から排除されたままの活動は限定的にならざるを得ないのです」(芸能関係者)

2021年、「新しい地図」メンバーがドラマで主演

 辞めジャニの民放ドラマ出演が叶わない中、21年、転機が訪れる。

「香取慎吾主演の『アノニマス』がテレビ東京系で放送された時は話題になりました」(ドラマ関係者)

 さらに今年1月、草彅剛が関西テレビ制作の「罠の戦争」で主演をつとめた。

「同時期にフジが放送した、北川景子主演の月9『女神の教室』は、最終回の視聴率で『罠の戦争』に2%以上も離された。局内で『ジャニーズに忖度している場合ではないのでは』と囁かれるようになった矢先の性加害問題です。自然、ジャニーズの重要性は低下し、山下と錦戸に視聴率挽回の救世主として白羽の矢が立ちました」(同前)

 そんな彼らに課せられた役どころは――。

「山下さんは主演で、災害から人命を守るヒーロー的な役柄。錦戸さんは、俳優の赤楚衛二さんが主演する大病院を舞台にした復讐物のサスペンスで、重要なポジションでキャスティングされています」(前出・フジテレビ関係者)

 今や滝沢秀明率いるTOBEの辞めジャニだらけのYouTube動画を、各局こぞって情報番組で取り上げ始めた。辞めジャニの排除から重用へと舵を切ったフジの“裏切り”は蟻の一穴となるか。

https://bunshun.jp/articles/-/67617