2023年12月2日 06:00
東スポWEB
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 違法薬物事件を起こしたアメリカンフットボール部の廃部方針を決定した日大に、ネガティブな話題が続いている。1日には麻薬取締法違反(所持)に問われた北畠成文被告(21)の初公判が行われるなど事件が収まりを見せない中、置き去りにされているのは無実の部員たちだ。4日に林真理子理事長が会見する大学側は救済する方針だが、具体策までは提示していない。競技生活を続けるには、どのような道があるのだろうか。

 黒色のスーツにマスク姿で出廷した北畠被告は初公判で起訴内容を「間違いないです」と認め、検察側は懲役1年6か月を求刑した。弁護側は執行猶予付きの判決を求めて即日結審。判決は来年1月9日に出される。

 同被告はこの日、部内での薬物使用の人数について問われると「10人程度だと思います」と証言した。自身は、高校3年時に大麻を友人と初めて使用し、大学入学以降は寮の部屋や屋上で部員らと使用していたという。

 また7月に寮で発見された違法薬物を、澤田康広副学長が持ち去ったことには「中村(敏英)監督が『澤田さんに見つかって良かった』と。もみ消すんだなと思って、少し安心しました。(澤田副学長は)それぐらいの力がある人だと思った」と振り返った。

 北畠被告を含めてすでに部員3人が逮捕され、先月30日には3年生部員が警視庁に書類送検された。4人が立件されているが、同被告の証言を踏まえると、人数はさらに増える可能性もある。

 一番の被害者は事件とは無関係の部員たちだ。リーグ優勝35回、学生日本一21回を誇った名門だけに、有望株も少なくない。日大は先月30日に、再発防止策などをまとめた報告書で在学生や新入生に関して「不利益が生じないよう対策を講じることを継続審議していく」と明記した。

 考えられるのは同好会として活動するか、転校して競技を続行する道だ。関東学連は、転校後の試合出場について「可能です。ただし登録年数の制限(通算4年)はあります」と回答。さらに大学に在籍しながら、クラブチームに所属する可能性もあり得る。社会人のXリーグでは、在籍している大学にアメフト部が存在していない場合、選手登録が認められている。

 日本社会人アメリカンフットボール協会の広報担当は「企業チームはパナソニックと富士通だけで、この2つは社員じゃないと基本的にプレーができない。ほかのチームはクラブチームなので、入りたい選手がいて、受け入れたいチームがあれば(制度上は)成り立つ」と説明。実際、Xリーグの下部リーグチームに在籍している現役学生も存在する。

 ただ、このルールは大学アメフト部の消滅を考慮していない。同担当者は「地方の大学など、アメフト部がないことを踏まえてのルール。日大の場合は同好会がたくさんあるため、そうしたケースまでは想定していない。もう一つは、学生を受け入れるかどうかは社会人協会だけでは決められないので、学生協会の合意を得ないといけない」。クリアすべき問題がああるため、今後受け入れに向けた話し合いが行われるという。

 日大アメフト部の廃部方針は先月28日の競技スポーツ運営委員会で決まり、この日の理事会でも話し合われたが、結論を出さなかった。4日には林理事長が会見を行う。2018年の悪質タックル問題に続いて起きた不祥事の再発防止策はもちろん、部員救済にも、どこまで迫れるかも日大の〝本気度〟が試されそうだ。