アメリカのNBA選手を夢見る孤児たちを育てる団体に、八村塁がサッカーボールを送ったことがあった。それも、200個ものボールを。子供たちは、とても喜んだ。

しばらくして、やはりBリーグが同団体にボールを寄付することになった。エージェントが現地へ赴き、少年たちにボールを渡す。少年たちはやはり喜んだが、渡されたアディダスのボールを見て「アディダスではなくて、メーカーは『カズ』が良かった。」「『カズ』のボールはとても使いやすかった」と口々に言う。

Bリーグのエージェントは首をひねった。カズ?そんなメーカーがあっただろうか。「これだ」と、手渡されたボロボロのボールを見てエージェントは驚いた。すでにかすれてしまっているものの、ボールにははっきりとサインペンで

「夢をあきらめるな カズ」

と、現地の言葉で記した跡があった。200個ものボール全てに八村塁は自筆のメッセージとサインを入れ、それを子供たちは「カズ」というメーカーのボールであると思い込んでいたのだ。