「ジャニーズを愛しているからこその痛み」を抱えるファンが直面している「世間とのギャップ」(アケミン,週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)
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2023.10.01

故・ジャニー喜多川氏の性加害問題で揺れる、『ジャニヲタ』と呼ばれるファンたち。彼女、彼らは今何を思うのか―。

前半記事『「生きる意味が見いだせない…」ジャニーズ性加害問題で揺れる「ファンたちの思い」』に引き続き、『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の著書もある「元祖ジャニヲタ男子」の霜田明寛氏にライター、アケミン氏が聞いた。

なぜファンは沈黙し続けてきたのか

故・ジャニー喜多川氏の性加害について、ファンはどのような思いを抱いていたのだろうか。『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の著書もある「元祖ジャニヲタ男子」の霜田明寛氏は次のように答えた。

「ファンとひと言でいってもメジャーなグループをテレビの前で応援している人から、ジュニアの舞台に駆けつけるコアなジャニヲタまで関わり方はそれぞれですが、コアなファンになればなるほどジャニー氏の性的嗜好については、認識していたと思います」

霜田氏が、この問題の端緒に触れたのは実に1996年にまで遡る。

「小学5年のとき、はじめて自分の意志で買った本が『ジャニーズのすべて』でした。『これでジャニーズのすべてがわかるのか!』と期待に胸を弾ませて、学校近くのTSUTAYAで買ったのを覚えています」

しかしこれは、ファンブックではなく『ジャニーズ性加害問題当事者の会』の発起人でもある平本淳也さんの告発本だ。現在、中古本が高値で取引されている。

「僕自身、性的な知識がほぼない時期だったので、この本によって『世の中にはこんな行為があるのか……』と知って正直ショックでした。しばらくは読むのが怖くなり、本棚の奥にしまい込んでいたほどです」

すでにジャニー氏が鬼籍に入った今となっては、その性嗜好・指向を確かめようはない。また第三者が本人の了解を得ることなく、その人の性指向などを暴露する行為は「アウティング」である。あくまでそれを考慮した上で、霜田氏は次のように述べる。

「ステージの演出では、少年たちが水着姿で水鉄砲を掛け合ったり、年齢を示唆する『14、15、16、17。その響きが好きだから!』という台詞があったりと、その性的関心が感じられるものがあるのは事実ですし、『少年であることの美しさ』『子どもの感性の瑞々しさ』を伝えるジャニーさんの感性を背景としたエンターテインメントの世界観に魅せられたジャニオタも多いはずです」

その類まれなる感覚を持ってジャニー喜多川氏は“男性アイドル”というジャンルを創出し、その功績はかつて、ギネス世界記録に認定されていた(現在、記録は削除)。

「僕をはじめとするジャニオタは、ジャニーズを深く愛していればいるほど、一連の問題については深く考えたうえで、しかしそれは事実であれば自分たちの心の痛みになるから、あえて不感症になってきたといえると思います」


ジャニー氏の類まれなる人心掌握術

霜田氏の著書、『ジャニーズは努力が9割』はジャニー氏のプロデューサーとしての「育てる力」についても紙幅を割いている。

(略)

「性加害は許せるものではない」とした上で霜田氏は、こう述べる。

「ジャニー氏の行ったことは、“すべてが悪”でも”すべてが善”でもない。ジャニー氏に感謝をしているタレントがいることと、告発する元タレントがいることは、同時に存在しうる事実です。

感謝の意を述べているタレントを周囲が『あれはグルーミングされているから、そう言うんだ』と決めつけるべきではないと思います。物事は常に多面体で、どの方向から光を当てるかで、反射する色を変えるのだと思います」

なにより優先されるべきは被害者の救済と補償だ。

「ジャニーズ=悪の巣窟」といったわかりやすい言説が人々の注目を集めやすい今だからこそ、事務所の性加害問題の本質とタレント個人の努力や才能、またファンの複雑な思いは丁寧に分けて、論じ続けなくてはならないといえるだろう。

※省略していますので全文はソース元を参照して下さい。