新聞協会、NHKのネット必須化に「反対」 検討課題が「山積み」
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中沢絢乃 2023年9月28日 19時00分

 日本新聞協会メディア開発委員会は28日、NHKのインターネット業務を放送と同等の必須業務に格上げすることなどを盛り込んだ総務省の有識者会議の報告書案に対する意見書を同省に提出した。意見書では、NHKのネット業務の拡大は、民放や新聞・通信社など多様な事業者に影響を与えかねないものだが、その業務範囲が依然として不明確だと指摘。「検討すべき課題が山積し、懸念が解消されない中でのネット業務の『必須業務化』には反対する」とした。

 28日まで総務省は報告書案に関する意見を公募しており、新聞協会がこれに応じた。

 有識者会議の報告書案では、現在の「NHK NEWS WEB」「NHK政治マガジン」といった文字ニュースなどの理解増進情報を一度廃止し、①災害などの緊急度の高い重要な情報②放送番組に密接に関連する情報又は放送番組を補完する情報などに限定して再整理すべきだとしている。意見書では、②について、「現在の理解増進情報の考え方との差異は極めて小さく、なし崩し的な業務拡大が懸念される」と削除を求めた。

 民間メディアとの競争を阻害しないかどうか外部機関が「競争評価」する仕組みの導入に関しては「NHK自身が競合に与える影響などデータを示すことが必要だ」と主張した。

 また、NHKが新たにネットから収入を得る場合には、NHKグループの改革と、放送の受信料の引き下げが必要だとの見解を示した。「(総務省は)公平で効率的な受信料の体系・水準を策定し、生じる余剰分を値下げ等で国民・視聴者に還元すると求めるべきだ」と訴えた。(中沢絢乃)