身長2メートル9で、鈴木宗男参院議員(75)の元私設秘書のムウェテ・ムルアカさんが死去したことが1日、分かった。62歳。アフリカのコンゴ出身。死因は明らかになっていない。

鈴木氏によると、8月30日夜、父親の墓地の契約のためにパリに渡航。その機内で体調が急変し、心停止に。同乗していた4人の医師が救命措置を行ったが、蘇生しなかった。離陸前、鈴木氏に電話があり「飛行機に乗ります。お世話になりました。感謝しています」と話したという。鈴木氏にとって、これが最後の会話となった。

ムルアカさんは同29日には、東京・永田町の議員会館の鈴木氏の事務所で仕事をしていた。鈴木氏が青木幹雄元官房長官のお別れの会に出席するため外出する時、車まで見送りに来た。鈴木氏は「明るくて、普段通りだったが…」と話した。

同31日朝にムルアカさんの妻から、知らせが届いた。「狭心症を患っており、10年前からペースメーカーを使用していた。ただ、日頃苦しそうな様子はなかった」という。

ムルアカさんは1985年、義兄が駐日大使になったことを機に来日。91年ごろから参加したアフリカ諸国の外交官同士の交流会で鈴木氏と知り合い、私設秘書になった。2002年6月に鈴木氏が受託収賄罪などで逮捕されるまで約10年間務めた。事件で関係は一度途切れたが、鈴木氏が04年夏の参院選に出馬する際にはタッグを組み、それ以降も親交は続いた。

ムルアカさんは高身長を生かし、格闘家としても活動した。母国で5歳から空手を始め、ボクシングなどさまざまな格闘技に打ち込んだ。14歳の時にはプロ格闘家としてデビューも果たした。06年には同じアフリカ出身で格闘家としても活躍したタレントのボビー・オロゴンとトラブルが発生。ムルアカさんは、ボビーが当時の所属事務所で暴れた現場に居合わせ「殴った、殴られた」の騒動となった。その後の謝罪会見ではボビーと同席し「アフリカにはよくあること」と助け舟を出した。

「日本人以上に義理人情に厚い人間だった」と鈴木氏。秋には、現在タンザニアで建設中の学校を一緒に視察に行く予定だったという。鈴木氏はムルアカさんを「ジョン」と呼んでいた。「ジョン、どうしたんだ、と聞きたい」。鈴木氏は言葉を絞り出した。

日刊スポーツ
2023年9月2日 05:05
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