『悦ちゃん』(えっちゃん)は、獅子文六による長編小説、またそれを原作とする映像作品。獅子初の新聞連載小説で、1936年(昭和11年)7月から1937年(昭和12年)1月まで『報知新聞』に連載、1937年(昭和12年)3月に大日本雄辯會講談社より刊行された。連載終了後すぐに映画化され、戦後もたびたびテレビドラマ化されたため、獅子の作品のなかでは最もよく知られた作品の一つとなっている。

獅子初の新聞連載小説として、1936年(昭和11年)7月19日から1937年(昭和12年)1月15日まで『報知新聞』に連載され、1937年(昭和12年)3月に大日本雄辯會講談社より刊行された。妻を亡くした“碌さん”こと碌太郎の再婚話をめぐり、賢くて元気いっぱいの一人娘“悦ちゃん”こと悦子が活躍する姿を描いた小説である。獅子は戦後、小説『娘と私』の中で、主人公の“悦ちゃん”の描写は、実娘の幼少期がモデルであることや、『悦ちゃん』の成功で生計の道が開き、家族を養うことができるようになったことを明かしている。

1937年(昭和12年)に日活により映画化。また1958年(昭和33年)に日本テレビ系「獅子文六アワー」でテレビドラマ化されて以降たびたびテレビドラマ化された。

2000年代以降の獅子の再評価に伴い2015年(平成27年)12月9日にちくま文庫より復刊されて他の復刊作品とともに静かな獅子文六ブームとなり、2017年7月から9月までNHK総合テレビジョン「土曜時代ドラマ」にてテレビドラマ化された。