サッカーのスペイン1部リーグを制したバルセロナが6日、国立競技場でJ1神戸と親善試合を行い2―0で勝利。
日本滞在約24時間の弾丸ツアーで、今夏限りで神戸を退団する元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(39)に古巣として花を添えつつ、深刻な財政難に貴重なボーナスを得た。

現地4日のリーグ最終戦終了後、すぐに飛行機に飛び乗って15時間かけ4年ぶりの来日。
親善試合を終えて6日深夜には離日という前代未聞の強行軍は、無駄な経費をかけられないのが理由だ。

スペインリーグのテバス会長が「バルセロナは今オフに約2億ユーロ(約298億円)の給与を削減する必要性がある」と声明を出すほど深刻な金欠状態。
リーグ優勝こそ果たしたが、より実入りが多い欧州チャンピオンズリーグは1次リーグ敗退となり、現地紙アスは「26億円の損失だ!」と指摘した。
「いつかはバルセロナに戻りたい」というイニエスタの希望をかなえようにも、神戸が払う今季年俸20億円さえ工面するのは苦しい。今回の親善試合で得るギャラ2億円さえ、干天の慈雨といっていい。

古巣相手に先発出場したイニエスタは後半35分までプレー。
「特別な1日になった。バルセロナが24時間の強行軍で来てくれたことに感謝する」と感慨に浸り、「私と家族にいつも愛情と敬意を持って接してくれて、日本はわが家になったし、今後も変わらない」とファンに別れを告げた。

「神戸で引退したい」とも公言してきたが、今季は運動量重視の戦術に変更し首位を走るチームで居場所を失った。現役続行を希望も古巣復帰はかなわず、サウジアラビア1部リーグへの移籍が有力視される。
バルセロナ時代の盟友、35歳のメッシにアル・ヒラルが2年契約で12億ユーロ(約1740億円)を提示するなど、同リーグが金に糸目をつけず大物選手に次々と触手を伸ばすのは、国家事業としてW杯招致をもくろんでいるからだ。

かつては考えられなかったバルセロナの弾丸来日ツアーも、イニエスタのサウジ移籍もやはりカネの力学である。 

2023.6/7 15:30 zakzak
https://www.zakzak.co.jp/article/20230607-N7GPC44EHNP2ZOSPL5NVRRAL5M/2/