東京新聞2023年5月27日 11時30分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/252309

【ワシントン=浅井俊典】米国で少年野球の審判員不足が問題になっている。全米規模の少年野球リーグでは、過去5年間で1000人以上も審判員が減少。新型コロナウイルス感染拡大の影響に加え、判定に納得しない保護者やコーチが審判員に暴言を吐いたり、暴力をふるったりする事例が相次いでいることも原因とされる。こうした「熱くなりすぎる大人」の対策に乗り出す運営団体も出始めた。

 CNNテレビによると、全米規模の少年野球リーグ「ベーブ・ルース・リーグ」の審判員は2017年に6229人いたが、22年には4995人まで減少した。新型コロナ禍で試合ができない間に引退した審判員も多いが、親やコーチからの暴言、暴力が原因の一つとされる。

 米国内では近年、判定を巡って保護者が審判員を怒鳴りつけたり、コーチが審判員を地面に押し倒したりする動画が交流サイト(SNS)に複数投稿されている。4月には南部フロリダ州で高校野球の試合中、選手の父親が63歳の審判員を殴り、暴行などの容疑で逮捕された。

 選手の一人はCNNの取材に「親が判定に口を出すのは余計なお世話だ」と話す。

 米メディアによると、審判員への暴力は少年野球にとどまらず、他の競技でも散見されるという。全米スポーツ審判員協会の17年の調査では、回答した審判員1万7000人のうち87%が試合で暴言を受け、13%は暴行されたことがあった。

 東部ニュージャージー州のデプトフォード・タウンシップ・リトルリーグは今季から、試合中に審判員を攻撃するような言動、行動をした人に、その後3試合の審判員をさせる新ルールを設けた。報道によると、まだこの新ルールを適用された人はいないという。

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