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私は2003年頃に文春の記事を読み、初めてこの問題を知った。ショッキングな内容に驚いたが、芸能界は今よりずっと遠い外国のような存在であり、社会的な問題とは捉えられなかった。殴る蹴るといった暴力なら容易にイメージできても、男性間の性暴力は想像しにくかった。

何かグロテスクなことが起きているとは思ったが、現実感を持って受け止めることが難しく、都市伝説のようにすら感じられた。70代男性(当時)が10代前半の少年に対しほぼ強制的に口腔性交や肛門性交を行い、性行為を拒むとデビューできなくなるという話は、あまりにグロテスクで絶句した。絶句するほどひどい話は口に出すのも憚られ、それ以上何かを考えにくくさせるのかもしれない。

青少年健全育成条例違反などで警察が動いていれば違う結果になっていたかもしれないが、ジャニー喜多川は莫大な資産を持っていたはずで、被害者との間に示談を成立させて事件化を免れた可能性も考えられる。

テレビ局と出版社は事務所に籠絡され、新聞社は「こんなものは芸能ゴシップだ」と一蹴し、大多数の国民も特に問題視してこなかった。そうして被害者の声を無視し続けた成れの果てが、現在である。