4/28(金) 7:32配信 現代ビジネス

「フジテレビ開局65周年」の大型企画

 第3話の世帯視聴率がひと桁台の9.8%に落ちたことが一斉に報じられた『風間公親 -教場0-』(フジテレビ系)。しかし、TVerのお気に入り数は唯一100万人超えの断トツ1位であることから、配信で見られているのは明らかだ。

 ところが、その割に称賛の声は少なく、放送中のネット書き込みも散発的に留まり、ネットメディアの記事も増えていかない。それどころか、23日にスタートした同じ刑事ドラマの『ラストマン ―全盲の捜査官―』(TBS系)と比べられて酷評を受けるケースが見られる。

 『教場』は2020年、『教場II』は2021年の正月に、それぞれ2夜連続スペシャルドラマとして放送されて高視聴率と称賛の声を獲得。謎を残す衝撃的なラストシーンもあって、続編が待望されていた。

 さらに、木村拓哉が主演を務めるほか、赤楚衛二、新垣結衣、北村匠海、白石麻衣、染谷将太ら、実力と人気を併せ持つ最高レベルの俳優をキャスティング。長岡弘樹の原作小説シリーズ自体の人気も高いだけに、「開局65周年特別企画」に掲げたフジテレビとしては頭が痛いところだろう。

 前2作の実績がある上に、自他ともに認める話題作でありながら、序盤から盛り上がりに欠けるのは何が原因なのか。

『教場』の強みは青春群像劇だった

 当作に限らずドラマをシリーズ化する上で最大の課題となる「前シリーズの熱気をどのように再燃させるか」「まだ見たことがない人をどう巻き込んでいくか」という点の対策は万全だった。

 まず1日の土曜昼から約5時間にわたる『教場』の一挙再放送があり、続く5日と6日にはゴールデンタイムで『教場II』の前・後編を再放送。10日の『風間公親 -教場0-』第1話放送から逆算したスケジューリングは万全だった。

 さらに言えば、それ以前も関東エリアでは、3月中旬から4月上旬にかけて木村拓哉主演作の『空から降る一億の星』『眠れる森』を立て続けに再放送。どちらも正統派ヒーローを演じることの多い木村拓哉がダークヒーローを演じた希少作であり、しかもチーフ監督は『教場』シリーズと同じ中江功であるなど、イメージを重ねやすい状況を生み出していた。

 バラエティやネット上でのPRも含め、これ以上ないほどの番宣が行われ、人々の期待値が高まっていたのは間違いないだろう。

 では、なぜ序盤から盛り上がりに欠けているのか。

 ネット上には第1話の段階から、「暗い」「重い」「パワハラ」などを理由に「見ていられない」という声があがり続けている。確かに“一気見”できるスペシャルドラマと毎週放送される連ドラでは、視聴者の印象や心境が違う。「またあの『暗い』『重い』ものを見るのか」と思ったとき、「今日は疲れているし、今週はやめておこう」などと回避しやすいところはあるのだろう。

 しかし、この「暗い」「重い」「パワハラ」は、結果としての印象や心境であり、根本的な理由は他のところにありそうだ。

 考えられる最大の理由は、物語の設定が大きく変わったこと。

 『教場』『教場II』は警察学校という密室が舞台の作品だったが、『教場0』はそれぞれの事件現場という開かれた場所に一変。どちらも厳しい言葉を放ち、退校届や転属願を突きつける風間が軸ではあるものの、『教場』『教場II』はさまざまな葛藤や秘密を抱える生徒たちの挫折や成長を描く“青春群像劇”という要素が濃かった。

 実際、生徒たちが談笑したり、悩みを打ち明け合ったり、激しくぶつかり合ったり……そんなみずみずしいシーンが学びの場で行われていることから、学園ドラマのような目線で見る人が少なくなかった。さらに訓練が過酷な分、クライマックスの卒業式で得られる感動が大きく、だから「暗い」「重い」「パワハラ」という声が『教場0』ほどあがりにくかったのだろう。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/f6505f2a9ab598db864f265b0470ac1a5a3a8d05