東大出身6人目のプロ野球選手として日本ハムやヤクルトでプレーし、昨季限りで引退した宮台康平さんが弁護士を目指し、動き出している。
「どうせなら難しいことをしたいというのがある。チャレンジ、ゼロからだと思っています」。
文武両道のメインストリートを歩み、〝武〟ではプロ野球界に足を踏み入れた27歳が、今度は〝文〟で最難関といわれる司法試験に挑む。

ユニホーム姿だけでなくスーツ姿も似合う。昨年12月、法律事務所に就職。宮台さんは「僕がいまやるべき仕事は、早く司法試験に受かって弁護士としてこの事務所の力になることだと思います」と語る。

神奈川・湘南高から東大文科一類に進学後、野球の才能が開花した。東京六大学野球のリーグ戦で通算6勝を挙げ、2018年にドラフト7位で日本ハムに入団。「100%野球でやってきた人間と勝負するんだという覚悟が結構大変でした。もう言い訳できないじゃないですか。俺ら勉強あるしって」と新たな境地で野球と向き合った。

同年8月23日のソフトバンク戦に先発でデビューも果たした。4回3分の2を2失点。試合をつくり、「うれしかったですね。一番緊張しましたし」。ただ、結果的にこれが最初で最後の先発機会となった。20年オフに戦力外となり、12球団合同トライアウトを経てヤクルトに入団。22年は中継ぎとして2試合に登板したが、この年限りでユニホームを脱いだ。

ヤクルト球団からは慰留されたというが、「5年間やって1軍に定着できなかった。実力は出し切ったつもりだったので、整理をつけました」と語る。2球団での通算成績は3試合0勝0敗、防御率9・00。

「けがが多かった。1軍で出る選手は1年間けがをせずプレーし切る。そういう体のタフさはもっとあればよかった」と振り返りつつ「俺はここまでだなと思わせてくれた。楽しかったというか、すっきりした感じです」。完全燃焼の5年間だった。

セカンドキャリアについては一般企業への就職も考えたが、「より自由度が高い。元プロ野球選手というか、そういうキャリアを歩んできたことのシナジー(相乗効果)が大きい気がした」と弁護士を目指すことにした。司法試験という大きな壁にもひるむ様子はなく、座右の銘とする「最も困難な道に挑戦せよ」を地でいく。

小学4年で始めて以来、自身にいろいろな風景を見せてくれた野球から離れる一方で、プロ経験者が学生野球の指導者になる資格を得るための研修会をすでに受講し「どこかのタイミングで指導者をやりたい気持ちはある」と明かす。

文武両道の探究者はさまざまな経験を重ねた後、いつの日か、今度は別の立場で白球を追う日が来るかもしれない。(橋本謙太郎)
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産経新聞