伝説のドラマーの死から1年 「最期までずっと」教え子が語る「手数王」の生き様
12/25(日) 14:10 ENCOUNT
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菅沼孝三さん(左)と今井義頼【写真:本人提供】
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■菅沼孝三さんが病床で制作していた最後の作品 その名も「手数王」

「手数王」(=てかずおう)という愛称で親しまれ、昨年11月にこの世を去った日本を代表するドラム奏者・菅沼孝三さんの遺作「The king of many strokes」(=手数王)がリリースされた。生前、自ら病床でまとめた楽曲をはじめ、撮影した写真や資料など、ドラマーとしての集大成を1つの作品にまとめた。(取材・文=福嶋剛)

「演奏が新しいんです。『まだ終わってないぞ』と先生の声が聞こえてくるような感動がありました」

 そう話すのはスーパーバンド「カシオペア」のドラマーとして活躍する今井義頼だ。

 菅沼さんは、ちびっこ天才ドラマーとして10歳で登場し15歳でプロに。独創的な演奏スタイルとユーモアにあふれた人柄から「手数王」と呼ばれ、長年にわたり日本を代表するドラマーとして活躍してきたが、大腸がんにより昨年11月8日に死去した。享年62歳。

 菅沼さんは後進の指導にも力を入れ、第一線で活躍するドラマーを多数世に送り出してきた。今井もその1人だ。学生時代に自ら門をたたいた。

「菅沼先生は子どもの頃からライブや専門誌を通して憧れていた方です。音大生だった15年くらい前に自分に足りないテクニックを身に付けたくて先生に1年半指導していただきました。あの頃は盗めるものは全部盗んでやろうと貪欲だったので先生の人柄を感じる余裕もなかったのですが、一緒にレッスンを受けていた方に当時の話を聞くと『今まで見たことがないくらい先生は今井に対して厳しかった』と。たしかに厳しい指導という印象で1回も褒められたことはなかったですね」

 そんな今井が恩師の人柄に触れたのはプロとして第一線で活躍してからだった。

「印象に残っている場面はいくつかあって、2019年につま恋で『ヤマハ・ドラマーズ・キャンプ』というイベントに、菅沼先生と川口千里ちゃん、僕という3人が講師として招かれたのですが、そこで思い切り叩いて、思い切り笑って、思い切り話をする先生の純粋な姿を見て、ようやく素顔に触れた気がしました。

 またその年の年末に僕のイベントにゲストできていただき、そこで『今井くんの筋肉が若い!』という独特の表現で初めて褒めていただきました。でもそのあとに僕よりはるかに若い“ドラム筋肉”を持った先生のとんでもない演奏を聴かされました(笑)」

 続けて今井は菅沼さんからもらった大切な言葉を紹介してくれた。

「先生には『いつも今日が最後だと思って演奏しなさい』、『練習量はうそをつかない』と言われました。今でも大切な言葉です。そしてもう1つ、雑誌に載っていた『一度叩き出したら止まらない。死ぬまでずっと、手数王』みたいなキャッチフレーズも覚えていて、ようやくその意味が少しずつ分かってきました。先生は最後まで自分を貫いたんだと思います。きっと僕だけじゃなくて先生から教わったすべての人たちは、思いっきり生きて、思い切り叩いてというドラマーとしての姿勢に勇気をもらっていると思います」

 ドラマーとして「手数王」のテクニックはどのように受け継がれているのか。

「僕はこれまで多くのドラマーや野呂一生先生、鳴瀬喜博先生といった師匠から“音楽の呼ぶ声に耳を傾ける”大切さを学びました。ライブでも静かな演奏もあれば会場の温度を一気に上げる演奏もあって、その中で『思い切り叩く』場面で『手数王』のスイッチが入っている気がします。先日『CASIOPEA-P4』に参加して初めてのフルセットライブを東京でやりましたが、スイッチの効きが良すぎて鳴瀬さんに『叩きすぎ!』って怒られちゃったんですけどね(笑)」

(※以下略、全文は引用元サイトをご覧ください。)