数多くの話題作がひしめく2022年秋アニメにおいて、覇権とまで言われるほどの人気を見せている『ぼっち・ざ・ろっく!』(TOKYO MXほか)。

そんな中で一部の視聴者は、アニメ内で描かれたとあるパロディネタについて、元ネタとの相違点を指摘しているようだ。

ストゼロ風刺絵から消されたワード
同アニメの原作は、『まんがタイムきららMAX』で連載している女子高生たちの青春バンド漫画。陰キャを極めた主人公・後藤ひとりを始めとした癖の強いキャラクターや、本格的なライブシーンなどが魅力で、アニメ化と共に瞬く間に知名度を上げていた。

今回話題になったのは、アニメ第6話『八景』に登場したワンシーン。同エピソードは廣井きくりというカリスマベーシストが登場する回で、お酒大好きな彼女が「お酒飲んだら全部忘れられるからさ」と、つねに飲酒している理由を語る場面があった。

ここで使われたのが、SNSなどでよく見る「ストロングゼロの風刺絵」のパロディ。男性のイラストの背景に書かれた「将来の不安」「年金問題」「結婚」「老後」「就職」といった文字が、ストロングゼロを飲むだけでぼやけていくアレだ。

廣井きくりも同じように人生の悩みをお酒で解消しているようで、アニメ内では明らかにストロングゼロの風刺絵のパロディだと思われる演出が。しかし元ネタの風刺絵と比べてみると、「政治不信」という文字が「地方の過疎化」と置き換わっていることに、一部の視聴者は気付いたようだ。

政治不信だと「ごっち・ざ・ろっく!」に!?
元々アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」では、無駄に波風を立てるような表現は避けている節があったが、「政治不信」の文字を消したことについては特別な事情があったと推測する人も。SNSなどでは《ぼっちの元ネタになった人物が左翼活動で炎上したの相当影響してそう》といった指摘も見かけた。

同作で「結束バンド」というバンドを組んでいるメインキャラクターは、後藤ひとり、伊地知虹夏、山田リョウ、長谷川育美。

そして彼女たちの名前をよく見ると、人気バンド『ASIAN KUNG-FU GENERATION』のメンバーが元ネタになっていることがわかる。かつて人気を博した『けいおん!』の主要キャラクターの名前が、『P-MODEL』のメンバーを元にしているのと同じような手法だ。

しかし「ASIAN KUNG-FU GENERATION」のギターボーカル、“ゴッチ”こと後藤正文といえば、ライブやSNSなどで政治的な発言が多いことで有名。

過去には「ザ・タイマーズ」をリスペクトした「エセタイマーズ」として、反原発などを主張するライブパフォーマンスを行ったこともあった。そして時に行き過ぎた発言をして、炎上してしまうことも…。

アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」では主要キャラクターの名前だけでなく、各話のサブタイトルにも「ASIAN KUNG-FU GENERATION」の楽曲名のオマージュが。

ただでさえアジカンがちらつく作品で「政治不信」というワードまで出すと、予想外の火の粉を被ってしまうリスクがあったため、消したのではないか…などと邪推されている。

ちなみに「地方の過疎化」というワードは、原作漫画の該当シーンで使われていたワード。おそらく原作漫画に寄せつつパロディを行うために、一番剣吞な「政治不信」と入れ替えたくらいの話だと思うのだが…。
https://myjitsu.jp/enta/archives/115043