サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会が20日に開幕する。120万人が訪れ、50億人が視聴すると見込まれる世界最大級のスポーツの祭典だが、現地での労働者の人権問題などを巡る批判にさらされている。国際サッカー連盟(FIFA)や大会組織委員会は火消しに躍起となるが、事態の収束にはほど遠い。(ドーハ 平地一紀、田尾茂樹、マスカット 平沢祐)

W杯開幕を直前に控え、ドーハでは関連イベントなどの準備が進む。カウントダウンクロックの周りで記念撮影を楽しむ観光客も目立ち、観光船の従業員で6年前から出稼ぎに来ているバングラデシュ人男性(25)は「こんなに人が来るのは初めて」と笑顔を浮かべた。だが、カタールの外では、民主主義や人権など価値観の異なる欧米諸国が厳しい視線を向ける。

 秋田県ほどの面積の小国カタールは、世界有数の埋蔵量を誇る天然ガスと安価な移民労働者に支えられ、急速な経済成長を遂げてきた。ビル建設や道路工事などの労働を主に担う外国人が人口約280万人の9割を占め、外国人労働者を厳格に監視するため、転職や出国に事業者の許可を必要とする湾岸諸国独特の管理制度も設けられた。

 招致を巡る買収疑惑に加え、カタール側は「数字は不正確」と否定するものの、英紙ガーディアンが昨年2月、「W杯の開催決定後、6500人以上の移民労働者が死亡し、37人がスタジアム建設に関わっていた」と報道。W杯欧州予選ではドイツなどが抗議キャンペーンを実施するなど、批判が噴出した。中東の多くの国々と同様、イスラム教の聖典「コーラン」が認めていないとの解釈から同性愛も禁じられ、LGBTQ(性的少数者)の尊厳を守っていないとの批判もある。

カタール政府は2020年に移民労働者の転職の自由を認め、最低賃金制度を導入。女性の権利を含めて一定の改善を図ってきた。だが、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルはFIFAなどに労働者への未払い賃金の支払いを求め、イングランドなど欧州勢の主将がLGBTQ支援へ試合で虹色のキャプテンマークを着けることを計画するなど、非難や抗議活動が加速している。

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