日刊ゲンダイDIGITAL 10/16(日) 9:06

 6月下旬、強豪球団のスカウト2人と、日本人選手に関して話す機会があった。

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 話題は千賀滉大や吉田正尚(29=オリックス)が中心。彼らの口から山崎康晃(30=DeNA)の名前も出るには出たものの、すでに終わった選手という見方だった。

 それから2カ月ほど経つと、2人のうちのひとりが電話をしてきて、「この前、ビデオを見たんだが、山崎は、ずいぶん調子が良さそうじゃないか。球威も戻ってるようだし」と言う。

 別のア・リーグ球団のスカウトからは、突っ込んだ質問をされた。山崎の性格や精神面はどうか、私生活に問題はないか……。グラウンド以外の部分まで聞かれたので、わたしは実際に日本で見た感想や情報提供者の話をかいつまんで教えた。

 今オフ、ポスティングによるメジャー挑戦が有力視される山崎に対して、数球団が興味をもっているのは間違いない。

 今季は56試合に登板して防御率1.33。不調だった昨年(3.27)や一昨年(5.68)と比べれば、確かに成績は改善されている。

 しかし、それ以上に気になるのは、2019年以降、奪三振率がガクンと低下している点だ。

 18年までの4年間は投球回数を上回る三振を奪っていたのに、19年以降は今季も含めて奪三振数が投球回数を下回っている。つまりはバットに当てられるケースが増えたのだ。

 日本はメジャーほどチーム数が多いわけではない。対戦する回数が多ければ打者が慣れるのは当然とはいえ、メジャーでは日本以上に奪三振数が減るとみている。

 メジャー投手の進化は近年、目覚ましいものがある。セットアッパーのストレートの平均球速は153キロ。山崎はそれ以下だし、ツーシームやスプリットのキレや落差もそれほどではない。特別に速い球を投げるわけでも、絶対的な決め球になる変化球を持ち合わせているわけでもないのだ。

 投手にとって何より重要なのはコマンド、狙ったところに正確に投げられる制球力だが、山崎のコントロールはあくまでも平均点。ツインズの前田クラスの制球力はない。

 山崎の獲得に興味をもつ球団があるのは事実だが、わたしはむしろ消極的だ。フロント幹部がそれでも欲しいと言ってきたら、マイナー契約が妥当だと答える。当初はマイナーでも、メジャーに昇格した場合はこれだけの給料を払うというスプリット契約が無難だと。

(メジャーリーグ覆面スカウト)
https://news.yahoo.co.jp/articles/63496f7100a0862e1da001684b76488c2635929f