日本サッカー協会が、次回2026年北中米W杯に向けた代表強化のために、欧州での試合を増やす方針であることが29日、分かった。欧州ネーションズリーグ(NL)など、欧州連盟(UEFA)の大会に特別枠で参加するプランも浮上。日本代表メンバーの大半を海外組が占めており、時差と移動の負担が少ない会場で試合を行うメリットが大きいと判断した。今回の合宿を行ったドイツ・デュッセルドルフを拠点に活動していく見込みだ。

 次回26年の北中米W杯までの4年間で、日本代表が欧州勢と試合を重ねる強化に乗り出す。日本協会がオフィスを置くデュッセルドルフを拠点に活動する意向。協会関係者によると、今回、同地で行った2試合(米国、エクアドル戦)は、観客動員や警備態勢など今後のシミュレーションも兼ねていたという。

 欧州で試合をするメリットは大きい。森保一監督(54)が「欧州組でチェックしている選手は50人以上います」と言うように、今回の代表30人のうち海外組が22人を占めた。時差がなく、移動負担も少ない代表戦はパフォーマンスの向上にもつながり、チーム強化に追い風となる。

 さらには水面下で仰天プランも動き出している。24年から始まる次回欧州NLなど、UEFA主催の大会に、特別枠で参加する可能性も浮上。W杯予選と欧州選手権予選の間で2年ごとに開催される同NLは、加盟55チームが4つのリーグに分かれて1年かけて戦う。

 前回ロシアW杯後の18年9月に欧州NLが新設されたことにより、日本は国際Aマッチ期間に欧州勢と対戦することは事実上、不可能になっていた。今回のW杯ではドイツ、スペインと1次リーグで対戦するが、森保監督が指揮を執った4年間で欧州勢とは、昨年6月にストイコビッチ監督(57)が率いるセルビアと対戦した1試合だけ。前回W杯前の4年間では、5試合を戦っていた。欧州NLに特別参加できれば、強豪との真剣勝負が組める。

 今回のW杯欧州予選に、開催国のカタールが、同A組に招待枠で参加した例もある。予選順位や成績には反映されないが、同じ日程でポルトガルやセルビアなどと対戦し、貴重な経験を積んだ。日本も19年にブラジルで行われた南米選手権に招待枠で参加。東京五輪組中心のメンバー編成で臨み、若手にとって大きな財産となった。

 次回のW杯から出場チームが32から48に増えることもあり、アジア予選がどのような形式になるかは不透明。欧州NLとW杯予選の開催時期を注視する必要があるなど、一筋縄ではいかないが、日本代表強化へ、あらゆる手段を探っていく。

 ◆欧州ネーションズリーグ 欧州サッカー連盟主催で、西暦偶数年に始まり、主に国際Aマッチデー期間を使って開催される。同連盟加盟55チームが最上位のリーグAからDまでの4部制でホーム&アウェーのリーグ戦を行う。それぞれのリーグはさらに4組に分けられる(リーグDは2組)。各組上位1チームが昇格し、最下位は降格。リーグAでは首位4チームが準決勝に進出し、優勝を争う。3度目開催となる今大会は22年6月2日に開幕し、決勝は23年6月18日に予定されている。

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