9/26(月) 21:08配信
スポーツ報知

ウクライナ人の避難女性が「M―1」挑戦 ナイスアマチュア賞受賞「新しい夢見ることできた」惜しくも敗退

「M-1グランプリ」1回戦に出場した「ウクラーニヤン」のユリヤ・ボンダレンコさん(左)、吉村大作さん

 ロシア侵攻から逃れて来日したウクライナ人女性のユリヤ・ボンダレンコさんと、日本人の吉村大作さんが組んだアマチュア漫才コンビ「ウクライーニヤン」が26日、大阪市内で行われた漫才NO1決定戦「M―1グランプリ」の1回戦に出場した。

 心斎橋の会場にはこの日、決勝進出経験者の「モンスターエンジン」ら約150組が参加。2人は終盤に登場した。練習を重ねた2分間のネタでは、ユリヤさんが独学で学んだ「心の言語」という流ちょうな日本語で吉村さんの質問に「五七五」で答え、日本人の印象について「素晴らしい こいつ以外は 素晴らしい」。来日して驚いたことには「気づいたら 漫才してる だまされた」などとボケ続けた。「めちゃくちゃ緊張した」という吉村さんとは対照的にユリヤさんは「私は大丈夫です」と強心臓で舞台を終えた。

 「優勝したい」と野望を燃やしていたユリヤさんだったが、当面の目標としていた2回戦進出はならず。それでも、奮闘したアマの組に1組だけ贈られる「ナイスアマチュア賞」に輝いた。吉村さんは「『面白いアマチュア』というちょうどいい賞がもらえて、ありがたい」とユリヤさんと喜びを分かち合った。

 ユリヤさんはウクライナ北部のチェルニヒウ出身で画家として活動。東日本大震災で復興を目指す日本人の姿に「感銘を受け、頑張ろうという気持ちになった」ということもあり、両親や兵役に就いた夫を母国に残して今年6月に単身来日。ベンチャー企業「ネクストエージ」(大阪市)の代表で、ウクライナの人にホームページ制作などを依頼する事業を行っている吉村さんと知り合った。

 ウクライナ問題を風化させまいという思いに加え、「ニュースではウクライナの人たちの『哀』の部分しか伝わってこない」(吉村さん)と、戦争体験などを伝える講演会活動に「笑い」の要素を取り入れ、同じ避難民のエリザベータ・コロトコバさんと漫才トリオ「ウクライーニヤン」を結成。今回は関西在住の2人のみで挑戦となった。

 母国にもスピーキング・コメディーはあり「ウクライナ人も良い笑いのセンスを持っています」というユリヤさんだが、「私が通っている学校の先生には『M―1に出るって本当?』と驚かれた」。それでも「戦争があって私が本当に心から笑うことができるか分かりませんでしたが、漫才をしながらリラックスし、また新しい目的とか夢を見ることができました」と笑顔。家族と離れている状況は「もちろん寂しいです。毎日連絡しています。『M―1』がどんなコンテストかは知らないですが…」と笑った。

 吉村さんは「相方が楽しくやってくれてよかった」と安どの表情。「毎年出たいなと思います。こうした活動には意味がある」と話していた。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/2f02704402a94c62ac051550e86db37d2c024067