6月26日のヤクルト戦に10対11で敗れ、球団史上最速で自力優勝の可能性が消滅した巨人。原辰徳監督はこの事実を伝えた記者団に「どういう意味? 我々はそういうことはね。ベストを尽くすだけだから」と気色ばんだ。

 この試合でヤクルトは先発スアレスが3回途中でKO。そこで高津臣吾監督は一軍昇格したばかりの小澤(こざわ)怜史投手を2番手に起用し、6回まで投げさせた。

「ソフトバンクをクビになり、トライアウトから育成契約で拾ったが、昨季から高津監督が横手投げに変えさせて制球が安定。長岡秀樹や内山壮真など20歳の新戦力も台頭し、勝ちながら世代交代が着々と進んでいる」(ヤクルト番記者)

 翻って巨人。原監督は開幕前、「同じ力なら経験の少ない若手を使う」と若手抜擢を掲げていたが……。

「坂本勇人が故障離脱中に2年目の中山礼都(らいと)をショートに起用するも育てきれず、坂本の復帰に伴い二軍に落とした。他にも一時的に若手を試すが、まとまった数の打席や登板機会を与えられないまま二軍に戻されるケースばかり。20代半ば〜後半で戦力といえるのは岡本和真と吉川尚輝くらいで、この世代の層の薄さは致命的です」(巨人番記者)

 世代交代が進まない最大の要因は、原監督の「我慢のできなさ」にあるようだ。

原監督の手法の限界?

「“投壊”状態の中、昨季チーム最多11勝を上げた25歳の橋優貴も今季はわずか1勝。これも5月8日ヤクルト戦で、1対1の同点ながら5回二死で原監督に突然交代を告げられ、先発の役割を果たせなかったショックが尾を引いている。すっかり自信喪失し、その後先発した2戦とも2回を持たずKO。懲罰的に二軍に落とされた」(同前)

 固定できない正捕手も、高卒3年目の山瀬慎之助を交流戦で4試合スタメンで試したが、「6月12日の楽天戦で1イニング9失点を喫したことを責められ、二軍に逆戻りです」(同前)。

 2019年に再々登板した原監督は丸佳浩や梶谷隆幸ら他球団の主力をFAで次々獲得。昨季は暴力事件を起こした中田翔まで獲得するなど補強は続けてきた。

「ライバルの戦力を削ぐことで相対的な戦力アップを実現してきたが、その手法の限界を原監督自身が証明している。主砲の岡本も、前任の高橋由伸監督がどんなに打てなくとも四番の座から動かさずに育て上げた。弱点だったセカンドに吉川を抜擢し、定着させたのも高橋監督。原監督は結局、選手を使い捨てるばかりで、我慢して育てる力はない。次の監督は大変なことになる」(スポーツ紙デスク)

 昨オフ、3年契約を結びなおした全権監督の“創造なき破壊”はまだ続く。

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