有吉も自伝で泥棒

「サラリーマン芸人。」 竜兵会 (双葉文庫)  第4章 上司の転がし方/有吉弘行
・竜兵会の中で、竜兵から一番可愛いと思われているのが自分。それには自信がある。

・タクシー代をせびったり、出される金を引ったくって取っていくのもテクニック。
 他のやつはお金を出させるのは竜さんに悪いと思ってるけど、分かってない。
 僕は自分より上の人に『こいつ、かわいいやつだな』と思わせるテクニックを知っている。

・まず自分(有吉)は、竜兵会みんなといるときと、竜さんと2人きりでいるときとで
 接し方が全然違う。2人きりの時はひたすら持ち上げる。

・ たとえば「高校生の時、竜さんみたいなリアクション芸人を目指してたんです」と
 平気で言える。普通はヨイショもそれで終わるが、更に
 「高校の時に深夜番組の『ダチョウ三銃士』を見て竜さんに憧れてこの世界に入ったんです!」と言える。
 もちろん全部ウソ。リアクション芸人なんて憧れたこともないし、『ダチョウ三銃士』も見たことない。

・ 更に「こんなこと、みんなの前では恥ずかしいし、リアクション芸人も
 神から選ばれた人しかなれないんで、僕なんか絶対無理ですけど・・・」と言いながら泣き出す。
 僕、泣きますよ。本当に。

・ 泣いてると、竜さんは俺の肩を優しく叩きながら、「そうだな、おまえのキャラもあるし、
 みんなの前では言えないだろう。わかる、わかるぞ。俺の前では泣いて本当の姿を
 出していいぞ」ともらい泣きしてくれる。ここまで来れば簡単ですよ。完全に僕のペースですから。

・こうしておくと、みんなの前で竜さんにどんな悪態をつこうが、竜さんの心の中では
 「有吉は、2人きりでいるときに俺の前で見せた方が本当の有吉だ」と勝手に思ってくれる。
 その上、「悪態つくのも、みんなには本当の自分を見せたくないからなんだな」と同情すらしてくれる。
 無礼さが、むしろ「可愛いヤツだ、みんなの前では無理してるんだ」と思ってくれて、
 一回良いように思わせとくと、あとは勝手に何をやっても良い方に解釈してくれる。