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辮髪に長いひげの異様な風貌……酔っ払いの男から女児を救ったことで注目されたプロレスラー、グレート-O-カーン選手。新日本プロレスの侵略を目論む「偉大なる王」である一方で、VTuber由来の必殺技「大空スバル式羊殺し」を得意とし、警察に協力したのは「ハコヅメ」の影響と公言するオタクの顔も併せ持つ。

ツイッターでは次々と女体化イラストが投稿されるオーカーン選手に、そのオタクライフを聞いた。

――オーカーンさんは「ハコヅメ」の話をアツくされていましたが、アニメはいつから好きなんですか?

オーカーン 余は2018年にグレート-O-カーンとして誕生する以前の記憶を失っているから具体的なことはよく覚えていないのだが、「スクールランブル」(2004年放送開始)という作品はなぜだか心に沁みついている。余の王宮にはアニメDVDも、ゲームも、漫画も、漫画の限定版も全部揃っておる。当時はテレビのゴールデンタイムのアニメというと少年誌系の熱い作品が主流で、ヒロインがたくさん出てくるラブコメは珍しかった。しかも登場人物が全員可愛い。……すべては余が生まれる前のことだがな。

――オーカーンさんがイギリスでデビューしたのが2018年、日本に上陸したのは2020年ですよね。

オーカーン イギリス時代は日本のアニメが見られなくて本当にキツかったが、途方に暮れていた余を救ってくれたのがVTuberだった。最初にハマったのはキズナアイだな。アニメは作品の中で流れている時間を見ることしかできんが、VTuberは会話ができて話せば話すほどに性格やヒストリーを知ることができる。これこそオタクが長年求めていた存在だと思ったわ。

――得意技「大空スバル式羊殺し」もVTuberの大空スバルさんから来ています。アニメやVTuberの影響を受けている部分は大きいんですか?

オーカーン うむ。余の生き方がかっこいいとすれば、それはアニメを見てきたおかげと言っても過言ではない。武蔵小杉駅で幼子をとっさに守れたのも、アニメのヒーローたちの行動が染みついているからだ。世の中では悪いことをした奴の家にアニメグッズがあると「オタクが事件を起こした」と騒ぐが、いいことをした時も出して欲しいものだ。

――「アニメオタクが女の子を救出!」っていうニュース、見てみたいです。

オーカーン だろう? 「名乗るほどの者じゃございません」とか「体が勝手に動いた」と決め台詞が咄嗟に出てくるのもアニメの影響だ。プロレスだってそうだ。あのリングは全員が主人公になれる場所だから、主人公らしい台詞がよく似合う。それを厨二病と言うやつもいるかもしれんが、余は漫画やアニメの主人公のようになることを諦めていないからな。いつ少女が空から降ってきても受け止められるし、角を曲がる時は食パンをくわえた少女とぶつかる準備ができている。

――4月から始まった今クールのお気に入りがあれば1つ教えてください。

オーカーン 1つ、1つか……。「パリピ孔明」だな。オープニング、エンディングがすごくいいし、ヒロインの英子もタイプだ。余は移動中、主題歌の「チキチキバンバン」をずっと聴いておる。余が所属している「UNITED EMPIRE」というユニットの外国人レスラーたちはクラブ大好きでな。あいつらと「パリピ孔明」のおかげでクラブの楽しみ方がようやくわかってきたところだ。あれは踊らにゃ損じゃ。余はこれまでどちらかと言うと"陰の者"で休日は王宮にこもってアニメを見ることが多かったんだが、今はクラブにハマりそうだ。

――確認しますがオーカーンさんはヒールレスラーで、カーンというくらいですから皇帝でもあるんですよね……?

オーカーン その通り皇帝じゃ。余はプロレスが嫌いだから、ヒールとかはよくわからんが、対戦相手の頭を掴んで靴を舐めさせたり、顔の上に座ったりはしているからな、悪党と言われればその通りだろう。余はレスラーたちに完全勝利したうえで、肉体的にも精神的な苦痛を与えることで完全に平伏させたいと思っている。余がプロレスの試合を「処刑」と呼んでいるのもその理由だ。

――「実はいい人」という声もありますが。

オーカーン それは悪党の矜持というものを理解していない愚民の発想じゃ。社会にルールがあるように、リング上にもリング特有のルールがある。余が支配を目論んでいる相手はレスラーたちだからな、素人に手をだすことはない。この矜持を教えてくれたのも「とある科学の超電磁砲」のアクセラレータという悪役じゃ。時々「ここから先は一方通行だ」というセリフを口走ってしまうくらいには影響を受けている。奴は決して自分の力を間違ったことに使わず、大事な女は絶対に守る男だ。