東スポ2022年02月01日 11時30分
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 慰安婦問題をテーマにした映画「主戦場」(ミキ・デザキ監督)に同意なくインタビュー映像を使われ、一般公開されたのは不当だとして、米国人弁護士ケント・ギルバート氏ら5人が、デザキ監督や配給会社「東風」(東京)に上映禁止と計1300万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は先日、公開は適法として、請求をいずれも棄却した。

 判決によると、デザキ監督は上智大大学院生だった2016〜17年、卒業製作が目的などと告げてギルバート氏らを取材して映画を作った。その後、商業映画として各地で公開されたうえ、作中で「歴史修正主義者」など一方的なレッテル貼りをされたとして、原告側は訴えていた。判決を不服として控訴する意向だという。

 原告の1人である「新しい歴史教科書をつくる会」副会長の藤岡信勝氏は「結論から言えば、ダマされた方が悪いと言わんばかりの一方的な判決だ。今後、大学生から卒業製作の映画をつくるからと取材を要請されても、誰も警戒して出演を許諾しなくなるだろう。研究の自由の制約を招きかねない」と語った。

 同じく原告のギルバート氏は「世界の常識からして、『歴史修正主義者』という言葉はネガティブの意味でしか使われない。これはドキュメント映画ではなくプロパガンダ映画だ」とした。

 また、同じく原告の藤木俊一氏は「デザキ氏との合意書では、出来上がった映像を事前に見せることになっていたが、彼から送られてきたのは、私の出演場面だけ。前後の場面がなければ、自分の発言がどのような扱いをされているのかが分からない」と話した。

 これに対し、被告側は判決後の記者会見で「全部の映像を見せろというのは編集権への干渉だ。また、歴史修正主義者というのは一方的な決めつけではなく、一部で彼らがそう評価されているということを言っているにすぎない」と主張している。