2022年01月13日 17時30分
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 NHK大阪放送拠点放送局の角(かど)英夫専務理事・大阪拠点放送局長が13日、大阪市の同局で局長定例会見を開催。同局が制作し、昨年末に放送したNHK BS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」が炎上した問題について改めて謝罪した上で、「捏造はない」ときっぱり否定した。

 角氏は会見の冒頭、「映画監督の河瀬直美さん、島田角栄さん、映画制作関係者の皆さま、何よりも視聴者の皆さまに深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした」と深く頭を下げ、謝罪した。反対運動に参加した人々に対しても「深くお詫びしたいという気持ちでいっぱい」と語った。

 同番組は、来年6月公開予定の東京五輪公式記録映画で監督を務める河瀬監督や島田監督ら映画製作チームに密着したドキュメンタリー。東京五輪デモに参加するという男性を取材する島田監督に同行した場面で、男性が「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」とのテロップが表示されたことで炎上した。

 再調査した同局は「男性が『これまで複数のデモに参加して現金を受け取ったことがあり、五輪反対のデモにも参加して、お金を受け取る意向がある』と話していた」「実際に出ていなかったかどうかはわれわれとしては確認できていない」として、取材担当ディレクターのコミュニケーション不足、思い込みがあったと説明。捏造やヤラセは否定した上で、番組の取材・制作は全てNHKの責任で行っており、公式記録映画とは内容が異なるとして、河瀬監督や島田監督ら関係者、視聴者に謝罪していた。

 角氏は問題について「取材・制作の過程で制作担当者間のコミュニケーション不足に加え、事実の確認とチェック体制が不十分だったことが原因。担当の管理職と部署の責任者でチェックが行われたが、番組の構成面に関心が向き、事実関係の確認という基本的な部分のチェックが十分ではなかった」と話し、再発防止のため、取材を担当する全対象者に研修を開始したと明かした。

 一方で、社内関係者への聞き取りは続けるものの、当該男性への再確認については「お答えできない」などと歯切れの悪い答弁に終始。自身の責任論についても明言を避けたが、番組については「捏造ではなかったという認識に変わりはない。捏造とは意図的に、または故意に架空の内容を作り上げたということで、そういう事実はない。捏造、いわゆるヤラセといった事案では思っていない」ときっぱりと捏造を否定した。

 NHKの謝罪を受け、河瀬監督は「公式映画チームが取材をした事実と異なる内容が含まれていたことが、本当に、残念でなりません」などとコメントしている。