大谷翔平も認めた世代の顔 羽生結弦は最強アスリート
12/26(日) 15:06配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/8e17a993f00ae7d97fd607d6711874f1be7d75ba
【君島圭介のスポーツと人間】
 大谷翔平といえばメジャーでも話題になった豪快な打撃練習。日本ハム在籍時代は相手チームの選手まで見学し、拍手が起きるほどだ。その放物線は練習の域を超え、いつまでも見ていたいと思える破壊的な美しい軌道だった。その大谷に「僕らは羽生世代と思っている」とかつて言わしめたのが、フィギュアスケートの羽生結弦だ。
 羽生は大谷と同じ94年生まれ。同学年には野球の鈴木誠也、競泳の萩原公介、瀬戸大也、バドミントンの桃田賢斗、スピードスケートの高木美帆、バスケットの渡辺雄太ら超一流の名前が並ぶ。それでもクリスマスイブの24日、全日本選手権、男子シングル・ショートプログラムで見せた圧巻の演技は、羽生が世代の「顔」と呼ばれる理由をあらためて教えてくれた。
 国際スケート連盟非公認ながら、今季世界最高に相当する111・31点をマークした結果は、ただの数字でしかない。重力から解放されたジャンプ、指先で遠心力を自在に操るスピン。素人の目にもこれは人類が生み出せる最高到達地点なのでは、と思わせる熱を持った美しさだった。誰もが永遠にこの演技が終わらなければいいのに、と思ったはずだ。
 ジャンプの高さと回転数を競う力強いアスリート競技から、羽生によってフィギュアスケートが再び芸術に引き戻された感がある。もちろん、アスリート性を乗り越えた先で辿り着いた究極的な美しさだ。
 26日のフリー演技で、羽生は何を見せてくれるのか。もしかすると、スポーツ競技においてかつてなかった領域に達した姿かもしれない。きっと日本中のファンが「最高の羽生結弦」を期待しているだろう。(専門委員)