0001征夷大将軍 ★
2022/01/05(水) 22:23:17.84ID:CAP_USER9https://number.bunshun.jp/articles/-/851507
ナイキ厚底シューズの登場もあり、箱根駅伝の区間記録は2018年以降次々と塗り替えられた。そのなかで最古となっていたのが1区の区間記録だ。2007年に東海大・佐藤悠基(現・SGホールディングス)が打ち立てた1時間1分06秒。現在もトップ選手として君臨する佐藤の強烈な存在感と、後続に4分01秒という信じられない大差をつけた区間記録は“伝説の快走”として語り継がれている。
その記録が2022年の箱根駅伝で大幅に塗り替えられることになる。偉業を成し遂げたのは中大のスピードスター・吉居大和(2年)だ。タイムは1時間0分40秒。吉居はなぜレジェンドの記録を26秒も更新できたのか。
なぜ1区は15年も更新されなかったのか?
そもそも1区は一斉スタートとなるため、高速レースになりにくい面がある。先頭を引っ張ることが、体力の消耗につながっていくからだ。それよりも集団のなかでレースを進めて、ラスト勝負に備えたいという心理が働く。
一方で序盤から飛ばしていく選手がいると、レースは一転“高速化”する。1区はほぼフラットで記録の出やすいコース。スピード自慢の猛者たちが区間記録を目掛けて突進した。しかし、早大・大迫傑、駒大・中村匠吾(現・富士通)という東京五輪の男子マラソン代表ランナーも佐藤の記録には届かなかった。
このような状況のなか、前々回は創価大・米満怜(現・コニカミノルタ)が1時間1分13秒をマーク。伝説の記録に7秒差に迫っており、1区の区間記録更新もカウントダウンに入っていた。
絶好のコンディション「こんな速い通過は見たことがない」
今年の往路はスタート時の天候が曇り、気温1.8度、湿度43%。風は追い風となる北北東1.3mという絶好のコンディションだった。
「自分で行くとは決めてはいなかった」という吉居が軽やかに駆け出すと、積極的にレースを引っ張った。5kmを14分07秒で通過。「周囲の選手がだんだん離れていったので、これは自分で行くしかない」と覚悟を決める。5.5km付近で抜け出して“ひとり旅”が始まった。
ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%の最新カラーを着用していた吉居は、10kmを27分58秒で通過。10000mの自己ベストを5秒も上回るタイムで突っ走り、2位集団に約30秒差をつけた。15kmは42分00秒で通過して、蒲田(15.4km地点)で2位集団との差は1分18秒に開いていた。
「最初、30秒差と言われたときはまだわからないなと思っていたんですけど、1分以上ついたのを聞いて、『これなら行けるぞ』と思うことができました」
20km通過は56分30秒台。1号車の解説を務めた住友電工・渡辺康幸監督が、「こんな速い通過は見たことがない」と興奮するほどのスピードだった。吉居は終盤もペースを落とすことなく箱根路を駆け抜けて、真っ先に鶴見中継所へ飛び込んだ。そして「1時間0分40秒」という区間新記録を打ち立てた。
記録更新が誕生した2つの理由
中大・藤原正和駅伝監督からは「目標は1時間1分30秒」と言われていたが、吉居はあまりタイムを意識していなかったという。それよりも自分のリズムを大切にしていた。
「5kmの通過がわからなくて、10kmが27分台だったので自分でもビックリという感じだったんです。それでも結構余裕があったので、行けるなと思ったんですけど、最後はかなりきつかったですね」
吉居にとっては5km通過時のタイムがわからなかったのが良かったかもしれない。予定よりも速い通過の場合、その後のペースを自重してしまう可能性が高いからだ。しかし、独走で10kmまで行ってしまったら、そのままのリズムで押していくしかない。
吉居には10kmを27分台で通過しても十分に対応できるスピードがあったことも大きい。1年時は7月に佐藤が保持していた5000mのU20日本記録を15年ぶりに塗り替える13分28秒31をマーク。12月の日本選手権5000mはU20日本記録を13分25秒87まで短縮して3位に食い込んでいる。
さらに2021年は東京五輪に本気でチャレンジした。2月からは単身渡米。男子5000mで銀メダルを獲得したM・アーメド(カナダ)ら世界トップクラスの選手たちが所属するバウワーマントラッククラブで3カ月弱のトレーニングを行った。箱根駅伝ではなく「世界」を見据えて取り組んできたのだ。また昨夏は月間走行距離を100〜150km以上も増やすなど、しっかりと走り込んできた。
「去年の3区(区間15位)が終わってから、『来年は1区』と言われていたんです。今年は距離に対する不安もなく、自信を持ってスタートラインに立つことができました」
1区の記録更新は“世界への扉”でもある
箱根駅伝1区の区間記録更新は“世界への扉”でもある。
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