投稿日: 2021.12.23 06:13
更新日: 2021.12.23 06:11
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 今年の夏に開催されたF1第12戦ベルギーGPを会場で観戦していたファンは、ひたすら消耗するだけに終わった決勝レースについて、主催者のスパ・グランプリから提示された補償の内容をめぐり、怒りをあらわにしている。

 2021年のベルギーGP決勝レースは、スパ・フランコルシャンの典型的な雨天に損なわれる結果となった。壮大なアルデンヌのサーキットは悪天候に見舞われ、観客たちはその様子もはっきり見えないスタートが切られるまでの間、3時間以上にわたってずぶ濡れのまま待たされるはめになった。

 午後遅く、レースは思い切ってセーフティカー先導で開始されたものの、3周目に入って公式に成立したところで終了となり、トップ10ドライバーには順位に応じてハーフポイントが付与された。

 ここで重要なのは、レースの進行が手順どおりに行われたため、観客に対する補償責任の所在が合法的にF1からスパ・グランプリへと移ったことだ。

 7度の世界王者であるルイス・ハミルトン(メルセデス)は、勝者と宣言されたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)に続いて偽物のような表彰台の3段目に立ったものの、レース再開の決断を批判し、ファンには観戦料を払い戻すべきだと述べた。

 F1のCEOであるステファノ・ドメニカリは当時、フォーミュラワン・マネジメント(FOM)が観客の置かれていた厳しい状況や被った不利益を考慮することになるだろうと述べていた。そして今週になり、レースをスタンドで観戦したファンたちは、わずかばかりの補償サービスは提供されるものの、現金は戻らない旨を告げられたのだ。

 補償パッケージには、F1のテレビ視聴権のほか、来年のF1ベルギーGP開催前の木曜日に行われるスペシャルイベントへの入場券、そしてグランドスタンドのシルバー、ゴールド、VIP各席のチケットを景品とする特別抽選会への参加資格が含まれているという。

 今回不利益を被り、憤慨しているファンのひとりは、『RTL』の取材に対して「私は900ユーロ(約11万6000円)を支払って、グランプリのまがい物を見せられた。それなのに、提示されたのは抽選会への参加資格だという。彼らはふざけているのか?」と語った。

「個人的なことだが、F1が大好きな息子をこのイベントに連れていくため、私は懸命に働き、いくつかの犠牲も払ってきた」

 今年の夏は、物議を醸す失敗レースに終わったが、F1ベルギーGPが中止されたのは今回が初めてではない。1985年には、再舗装されたターマックが暑さではがれてしまったために決勝レースが延期されている。

 ただしこのときは、観客たちに対して、保有しているチケットが9月まで延期された決勝レースに有効である旨が伝えられ、さらにボーナスパッケージとしてスパ1000km耐久レースへの自由入場券もつけられたのだった。時代が変われば、やり方も変わるということか……。