投稿日: 2021.12.22 07:51
更新日: 2021.12.22 08:02
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 ウイリアムズF1チームのニコラス・ラティフィは、2021年F1最終戦アブダビGPでのクラッシュの後、ソーシャルメディアを通して悪質な嫌がらせを受け、殺害予告まで寄せられていたことを明かした。

 レース終盤、ラティフィは15番手のミック・シューマッハー(ハース)を追っているなかでクラッシュ。それによってセーフティカーが出動した。それまでルイス・ハミルトン(メルセデス)はマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)との間にギャップを築き、優勝とタイトルを手に入れようとしていた。だがセーフティカー出動によってギャップはなくなり、さらにFIAレースディレクターのマイケル・マシがレギュレーションの文言に反する形でリスタートを行わせたことで、ハミルトンは著しく不利な状況に陥り、結局最終ラップでフェルスタッペンにかわされ、タイトルを逃した。

 レース直後、レッドブル代表クリスチャン・ホーナーは、『Channel 4』のインタビューのなかで「ニコラス・ラティフィ、セーフティカーを出してくれてありがとう。彼には一生分のレッドブルを贈ろう」と語った。

 マイケル・マシが激しく批判される一方で、ラティフィには一部のファンから理不尽な怒りが向けられた。SNSアカウントに嫌がらせのコメントが相次いだため、スマートフォンのインスタグラムとツイッターを削除し、しばらくソーシャルメディアから遠ざかっていたというラティフィだが、12月21日にコメントを発表した。「これはマニュアルどおりの声明ではなく、ネットいじめやそれが人々に与える深刻な影響について、改めて話し合うきっかけになればと思い、自分の考えを述べたものだ」とラティフィは言う。

 多数のメッセージが寄せられ、大部分は彼を応援するものだったが、憎悪と罵倒のメッセージも多かったという。「憎しみ、嫌がらせ、暴力の脅しをかけるメッセージを送り、相手を攻撃する手段として、ソーシャルメディアを利用するなんて、ショッキングだった」とラティフィ。

「ソーシャルメディア上の憎悪、罵倒、脅迫は、僕たちが今生きている世界の厳しい現実であり、僕にとって本当の驚きではなかった。ネット上でネガティブに語られることは珍しいことではない。世界の舞台で戦うスポーツ選手なら誰でも、自分が厳しく監視されていることは知っている」

「しかし、あらゆるスポーツにおいて、何度も何度も目にしてきたように、悪い時にひとつの出来事が起こるだけで、物事は大げさに騒がれ、そのスポーツのいわゆる“ファン”である人々の最悪の部分を引き出すことがある」

「憎しみや罵倒、そして殺害予告まで寄せられ、その極端なトーンに僕はショックを受けた」

 レース直後には、クラッシュの影響についてラティフィは「そういうつもりは全くなかった。物事に影響を与え、機会を生み出してしまったことには謝罪するしかない。でも、ミスをしてしまっただけなんだ」とコメントしていた。

 しかし今回発表した声明のなかでは、自分が謝罪すべき相手はチームのみだったと述べている。

「レース中に起こったことを振り返ると、リタイアについて謝るべき相手はひとつのグループ、自分のチームだけだった。僕はレース直後に謝罪した。それ以外のことは、僕ににはどうすることもできないことだった」

 ラティフィは、自分に嫌がらせのコメントを送ってくる人間は真のF1ファンではないと断言した。

「残り周回数が少ないなかで、重要でない順位を争っていたくせに、という人たちもいる。でも僕は、優勝、表彰台、ポイントを狙う状況であっても、最下位を走っているときでも、いつもチェッカーまで全力を尽くす。その点では、他のすべてのドライバーと同じなのだ。それを理解しない、あるいは同意しない人たちに対して、僕はそれでいいと思っている。自分の意見を持てばいい。でもその意見をもとに、僕だけでなく、僕の身近な人たちに対して憎悪や罵倒、暴力の脅威をを向けることについては、『この人たちはこのスポーツの真のファンではない』と僕は思う」