12/6(月) 19:14配信 朝日新聞デジタル
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 NHKは6日、放送制度のあり方を議論する総務省の有識者会議で、電波が届きにくい難視聴地域の地上波放送を、高速大容量のインターネット通信「ブロードバンド」で代替できるように検討することを求めた。設備の維持を効率化する観点から、日本民間放送連盟(民放連)も検討に加わる考えを示した。

 放送事業者は、「ユニバーサルサービス」として、全域に電波で放送を届けることが放送法上の責務とされてきた。NHKの松坂千尋専務理事は将来のイメージとして、全世帯の94%に地上波を届け、最大6%の難視聴地域は光ファイバーやローカル5Gなどのブロードバンドや衛星で代替する案を提示。現在の同時配信で約30秒の遅延時間やコスト負担を課題に挙げた。

 民放連の堀木卓也常務理事は、難視聴対策で新技術の活用を含めた検討に加わり、NHKと協力を深める考えも示した。一方で、一般向けに広く放送コンテンツをネット配信することは別の課題だとし、民放各局ごとに方針も異なるため、「一律の取り組みを求めることはなじまない」と主張。さらにNHKのネット活用業務について、費用負担のあり方や市場競争への影響などを挙げ、「多角的な観点から、国民的議論が行われる必要がある」と強調した。

 民放各局は放送法で「あまねく受信できるように努める」とされ、NHKは公共放送としてより強い義務を負う。この「ユニバーサルサービス」は従来、難視聴地域にも電波を届ける責務とされてきたが、人口減少やブロードバンドの普及を踏まえた見直しが課題として浮上。この日が2回目だった有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」(座長=三友仁志・早大大学院教授)でも、論点の一つとなっている。(江口悟)