12/3(金) 5:15配信
東スポWeb

監督就任会見に臨んだ栗山英樹氏(東スポWeb)

 現実は厳しい。野球日本代表・侍ジャパンの新監督に前日本ハム監督の栗山英樹氏(60)が就任することが決まり、2日に東京都内のホテルで会見が行われた。2023年3月に開催予定の国・地域別対抗戦「第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」で4大会ぶりの世界一達成を目指す。投打二刀流挑戦の道筋を作り、師弟関係にある大谷翔平投手(27=エンゼルス)の選出に期待がかかるが、実際の舞台裏では多くの難関を乗り越えなければならず苦戦≠ヘ必至だ。

 栗山ジャパンが新たな船出を切った。栗山監督は「ぜひ23年のWBCで優勝できるように全力を尽くしていく。精いっぱい務めさせていただく」と力強く言い切り、1年3か月後に開催予定の第5回WBCへ向けて心血を注ぎ込む決意をあらわにした。

 そして「具体名は今ここで言うことではないが、本当にシンプルに世界一になれる選手をよろしくお願いします。それが選ぶ基準です」とも述べ、各球団に代表選手派遣を訴えることも忘れなかった。

 一方で栗山監督に期待がかかるのは、やはり日本ハム時代から強い絆で結ばれている大谷の招へいだ。その「最大の注目ポイント」について問われた新指揮官は「僕の中ではバッター大谷≠ニいう選手とピッチャー大谷≠ニいう選手が2人いつもいて、その2人の選手が全体像の中で必要なのであれば、そう思うし、そこだけを特別にということはないところもある。ただ本当に必要なのであれば、どこに誰がいようとこちらはお願いに行く」と独特の言い回しで持論を語った。

 ただ周囲の期待値とは裏腹に実際のところ、大谷のWBC出場は「絶望的」と言わざるを得ない。ア・リーグ関係者によれば「米国の場合、選手自身が出場を希望しても日本のように単純な形で代表選考は進まない。もちろん大谷も例外ではない」という。

 仮に大谷本人が恩師≠ナある栗山監督からのオファーを快諾しようとしたとしても球団のトレーナー、さらには球団GMおよびオーナーの許可が求められ、さらには代理人のネズ・バレロ氏からも同意が得られなければWBCには出場できない。

「エンゼルスはMLBの中でも所属選手のWBC出場には割と寛容な球団だが、大谷は二刀流。他のメジャーリーガーよりもWBC出場によってケガ等のさまざまなリスクが生じる可能性が一層高まるから、保険金も莫大な額になる恐れがある。保険金を支払うことになるWBCの運営会社との話し合いで所属球団と代理人が、どのようにまとめていくか。難問は山積みだ」(前出の関係者)

 栗山監督率いる侍ジャパン側が、大谷のWBC出場の方策として「もろもろの許可を得やすいように『投手のみ』か『打者のみ』の一刀流起用≠考えているようだ」との情報もある。だが、一刀流なら保険金が安くなるかといえば…。大谷がビッグになればなるほど、日本代表からは遠ざかってしまうという皮肉な構図≠ニなっているのが現実なのだ。

 この日の会見では栗山監督が「必要ですか、翔平?」と逆質問する場面があった。雲行きを新指揮官は誰よりも一番よく分かっているのかもしれない。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/289b92816e14cc280cb12020986ba212584c0b93