中森明菜 心の履歴書

父は外で女を作り、両親は喧嘩が絶えない。

「相変わらずいつも喧嘩ばかりで、お母ちゃん『離婚するから』って。……(略)……いつも言ってた。いつでも出られるようにってお母ちゃん、荷物をまとめてて、そのバッグに私の服も入れてね。私それを見ながら『うん、アータン(私)、ついていくよ、ついていくよ』って言ってた」


家庭は荒み、小さな家は荒れ放題で、いつも雨戸がかかっていた。

「(明菜が学校を休んだ時の)給食のパンを届けるのが私の役目でした。でも訪ねていっても雨戸がしまっていて、何度か声をかけたら、玄関からお姉さんがソーッと手を出して黙って引っ込んじゃう、なんてことがありました」(クラスメートの弁)

「家庭訪問の時、(明菜は)『うちにはこなくていいとお母ちゃんがいってます』といったから(彼女のことはよく覚えている)。……(略)……おかしな家だと思って、それでも押しかけていくと、家は散らかり放題になっていた。それで訪問をいやがったのかって」(小学校の担任教師の弁)


親しい友達はひとりもいなかった。

「作れるような立場じゃなかったから」「友達を呼べるような家じゃなかったから」



朝ごはんは1度も食べたことがない、午前中の休み時間に給食室の前の置かれる「今日の給食」の見本のつまみ食いが彼女の朝ごはんだった。

「小、中と朝ごはん食べたことないの。…(略)…だから見本を食べにいってたんだ」