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ウルトラマンへの復讐? それとも侵略?

この2021年で、ウルトラシリーズは1966年の『ウルトラマン』放送開始から55周年を迎えました。これまでさまざまな人気キャラクターが誕生しましたが、なかにはシリーズを通して何度も登場する敵もいました。そもそも彼らは何の目的で繰り返し地球にやってきたのでしょうか。今回は、性懲りもなく何度も地球にやってきた有名な宇宙人たちを紹介します。

 ウルトラシリーズで何度も登場する宇宙人といえば、真っ先に思い浮かぶのが「バルタン星人」でしょう。両手がハサミ、「フォフォフォフォ」の特徴的な鳴き声など、個性が強いこの宇宙人は『ウルトラマン』第2話「侵略者を撃て」で初登場しました。

 このエピソードは一見、地球侵略を試みたバルタン星人をウルトラマンが成敗するという話に見えますが、よくよく見るともっと穏やかなエピソードです。あらすじは、宇宙旅行中に母星が消滅してしまい、行き場を失ったバルタン星人が「地球に住むことにした」と申し出るというもの。

 ただし、移住するのは宇宙船で眠っている20億人以上のバルタン星人であり、それを知ったウルトラマンに宇宙船ごと撃破されてしまいました。そのため、ファンの間でも「ウルトラマンによる大量虐殺なのでは?」と長年議論されていますが、その後、難を逃れたバルタン星人が第16話と第33話で登場しています。
 そして、続編の『帰ってきたウルトラマン』第41話でもバルタン星人が登場しています。タイトル「バルタン星人Jrの復讐」の通り、初代ウルトラマンに倒されたバルタン星人の息子が、父の仇を討つべく地球にやってきたのです。また、『ウルトラマン80』に登場したバルタン星人は、80を捕獲して母星の動物園に収容したい、というなんともユニークな目的で来訪しています。

 一方、執念深さで群を抜いているのは、『ウルトラマンA』で登場したヤプール人でしょう。ウルトラシリーズ初の「作品全体を通しての悪役」としても有名です。厳密には宇宙人ではなく「異次元」からきた人間として描かれており、よく分からないこの曖昧さがヤプール人の気持ち悪さを加速させています。

 そして、ヤプール人の目的は単純明快な「地球侵略」でした。しかし、そのやり方は回りくどく、暴力は使わず、人の心を操ったり、子供たちをさらったりと陰湿な方法でした。さらに「怨念」で何度でも復活することが可能で、『ウルトラマンA』の作中で倒されても、『ウルトラマンタロウ』『ウルトラマンメビウス』などで復活し、その度にウルトラ兄弟に復讐を目論んでいる厄介な存在でした。

「目的達成」を確信して帰っていった宇宙人も

「またやってきた!」ではなく「まだいたのか!」という宇宙人もいます。数多くの宇宙人が登場した『ウルトラセブン』のなかでも、ひときわ異彩を放っていたメトロン星人です。タバコに他人が敵に見える幻覚剤を仕込み、人類相互の信頼関係を奪うことで地球を侵略しようとしました。

 メトロン星人はモロボシ・ダンにアジトを突き止められるのですが、そこでダンとちゃぶ台を挟んで冷静に持論を展開します。しかし、最終的には巨大化して戦い、ウルトラセブンのアイスラッガーで真っ二つにされました。

 その後、2005年放送の『ウルトラマンマックス』で、実はこのメトロン星人が生きていたことが明らかになります。真っ二つにされて瀕死状態だったメトロン星人はある少年に拾われ、着ぐるみ製作のプロによって体を縫いつけられて一命を取り留めていたのです。その後も地球に潜伏し、人間の観察を続行。当初は人間同士を争わせることで人類滅亡を企みましたが、40年間もの観察の結果、「何もしなくても勝手に人類は滅びる」と確信し、迎えに来た宇宙船で帰っていきました。

 今回解説したように、宇宙人たちの目的や背景を知ると、彼らはただの悪役ではなく、物語に深みを持たせている愛すべきキャラであることがよく分かります。そしてこういった敵キャラの魅力こそが、ウルトラシリーズの人気の秘訣なのでしょう。