サッカー界では「ケガは<チーム内に伝染>することがあり、故障者続出という事態を迎えることが多々ある」と言われているが……。

 森保ジャパンが野戦病院と化してきた。MF久保建英(20=マジョルカ)は、9月23日の国内リーグ戦でヒザを痛めてリタイア中。13日にクラブの監督が「回復が遅れている」とコメントした。続いてMF堂安律(23=PSV)が、7日に左ヒザを故障して代表から外れ、13日に地元メディアが「回復にまだ1カ月はかかる」と報じた。2人とも11月11日のW杯最終予選ベトナム戦、16日の同オマーン戦の招集が難しいともっぱらだが、すると今度はレギュラーFW大迫勇也(31)まで戦線離脱してしまった。

 12日のW杯最終予選オーストラリア戦に先発した大迫は、相手選手と激突して後半16分のベンチに退き、所属するJ1神戸の三浦淳寛監督が15日に「代表参加中のケガなので残念です。しばらく(プレーするの)は難しい」とオンライン会見でコメント。最悪の場合、大迫も11月のW杯最終予選に間に合わない可能性も出てきた。

 最終予選4試合で1得点と不調の大迫だが、指揮官は「FW陣の一番手」と高評価。もし長期離脱となれば、大きな痛手であることは間違いない。

 もっとも、サッカーダイジェスト元編集長の六川亨氏は、「森保監督率いる日本代表にとってはむしろプラスになるかもしれない」とこう続ける。

「これまでの経験と実績から、森保監督は大迫を不動の1トップとして起用してきた。しかし、大迫に依存するあまり、アタッカー陣の新陳代謝が遅れることにもつながった。今回の大迫の離脱は文字通り<ケガの功名>となる。

オーストラリア戦で大迫と交代出場したFW古橋(亨悟=26)はDFの裏に抜けるスピード、多彩なシュート、決定力の高さが魅力。フランスで存在感を増しているFWオナイウ(阿道=25)は、フィジカルの強さに加えてゴール前でラストパスを引き出す秀逸な動きが持ち味。2人とも能力の高いストライカーなので代表FWとして場数を踏めば、森保ジャパンの貴重な戦力となってくれるでしょう」

 W杯最終予選には招集されていないものの、日本代表歴のあるベルギーの鈴木武蔵(27)、J1で結果を残している横浜Mの前田大然(23)、東京五輪のエースFWだった鹿島の上田絢世(23)といった選手にも「大きな刺激となって代表FW陣の底上げにもつながる」とは前出の六川氏である。

 大迫リタイアで日本代表の得点力が大幅にアップすれば――。森保監督にとっては<何とも皮肉なこと>ではあるが、僥倖に巡り合えたということになる。

日刊ゲンダイ 10/16(土) 11:55
https://news.yahoo.co.jp/articles/0724fc663985880cce5c37608f5df7733b9dd00c

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