インターネット上での誹謗(ひぼう)中傷対策を強化するため、上川陽子法相は14日の閣議後記者会見で刑法の「侮辱罪」を厳罰化、懲役刑を導入する方針を固めたと明らかにした。法相の諮問機関である法制審議会は現行の法定刑「30日未満の拘留か1万円未満の科料」に「1年以下の懲役・禁固または30万円以下の罰金」を追加する案を、16日の法制審総会に諮問する。

 ネットでの誹謗中傷については、昨年5月、テレビ番組に出演していた女子プロレスラー木村花さんがSNSで人格を否定されるような書き込み被害に遭い、死去。中傷した男性2人が侮辱罪で科料9000円の略式命令を受けたことが「軽すぎる」と批判されていた。

 上川法相は「ネット上の中傷は同様の書き込みを次々と誘発し、取り返しのつかない重大な人権侵害につながる」と指摘。厳罰化を説明した。

 ネット上で誹謗中傷を受けた経験のあるお笑いタレントのスマイリーキクチ(49)は自身のツイッターで「数年前、司法制度調査会に登壇して、ネットの誹謗中傷について法改正を訴えました。人命に関わる前に何もできなかった。自分の無力さと申し訳ないという思いに苛(さいな)まれる。これ以上犠牲者は出したくない」と思いを伝えた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4a1bbd0773ab49137cdbcf75f93b8d8a87a5b294