(2) 本件投稿1について
本件投稿1は、「ホリエモン」と言及しており、原告に対する言及であることは明らかである(同定可能性)。

そして、原告が「来店した時の正しい対処法」(甲3の1)と記載し、また、別のツイートでは「ホリエモンと餃子店のバトル」(甲3の2)と投稿されているが、これは、令和2年9月22日、原告が、広島県尾道市にある餃子店に入ろうとした際に、マスク着用義務に関して討論になったことをSNSで発信したことを発端とするトラブルに対する批判と思われる(甲5)。

原告からの発信に対して、当該餃子屋もSNSにおいて反論したことから(現在当該ブログは閉鎖されている)、SNSを中心に大きな騒ぎになり、原告のファン等が当該餃子屋に対して嫌がらせ等をし、休業に追い込まれるという事態に発展した。

このトラブル騒動について、原告側は、原告自体はマスクを着用しており、付き添いの友人がマスク着用だったことから、マスク着用ルールがとれほど厳格なものか質問しただけなのに、いきなり怒鳴って追い返されたことに対して、当然餃子屋の自由でありながらも、客商売としてあまりに唐突で過激な対応すぎるという意見と、そのような殺伐とした世の中になっていることへ危機感を発信したいという考えであったが、世間は、結果的に餃子屋が一時休業となったことやその原因である嫌がらせも含めて、全てが原告の責任であるかのような批判が繰り返されるようになった。

確かに、原告としては、結果的に餃子屋の迷惑になったことには残念な事態となってしまったと思い至っているが、とはいえ嫌がらせをしたのは全くの第三者による不法行為であって、それらの責任を原告に問われるのは不合理である。

以上の点について、本件投稿1は、「野菜を突っ込んでメスイキさせる」と投稿している。

メスイキとは、その意味は厳格に定義づけできるほど、社会的に認知されている言葉ではないが、性的なスラングの一種のようで、「男性が射精を伴わずに、オーガスムを感じること」、「女性がイクときに感じる特有の間隔を伴ったドライオーガズム」等を指しているようである(甲6)。

このように、本件投稿1の意味は必ずしも明確ではなものの、少なくとも、原告に対して、著しい性的な侮辱表現であると理解できる。

さらに、本件投稿1を行ったアカウントからは、他にも原告「ホリエモン」に対して、「何を言ってもメスイキ呼ばわり」(甲3の3)、「ホリエモンの蔑称で打線組める」(甲3の4)、「立花×堀江のBL本が作られそう」(原告と親交のあるN国の立花党首のことを、BLとはスラングでボーイズラブすなわち同性愛を指していると思われる)(甲3の5)、「害悪」(甲3の6)等と原告を侮辱、嘲笑する投稿をしている。

 そして、本件投稿1前後の投稿も踏まえて、このような侮辱表現は、原告の餃子屋のトラブルに対する側面を踏まえても、事件そのものの言及とは全く関係ない、特段公益性のない単なる侮辱表現、個人攻撃であって、社会通念上許される限度を超える侮辱表現であることは明らかであって、名誉感情侵害が成立することは明らかである。