敵は空にいた。

 2年ぶりの開催となった夏の甲子園が悪天候に翻弄されている。台風の影響で開幕初日が中止になると、12〜14日は3日連続で雨天順延。15日は第1試合を3時間遅らせて試合を開始し、同日の第4試合は史上最も遅い19時10分のプレーボールとなった。

■7日間で5試合

 今後も不安定な天候が予想されるため、19日の試合数を3試合から4試合とし、20日、21日の試合を1試合ずつ前倒しして消化スピードを速めるなど、主催者の高野連と朝日新聞社は日程のやりくりに四苦八苦。相次ぐ順延に、大会期間中3日間予定されていた休養日は次々と“消化”され、16日時点で残すは準々決勝翌日の1日だけだ。

 こうなると、懸念されるのが今後の試合日程。21日に予定されている第9日の2回戦に臨む高校(大阪桐蔭と東海大菅生の勝者対近江と日大東北の勝者)は、決勝戦の27日までの7日間で5試合を戦う超過密日程を強いられることになった。

 これに追い打ちをかけるのが「1週間500球」の球数制限だ。投手の登板過多を考慮して適用されたルールだが、これによってエース投手1人だけで優勝することは事実上困難に。投手の再整備に加え、戦い方の変更も余儀なくされる。投手は三振よりも早めに打たせて取る投球に、打者はファウルで粘ったり四球を狙ったり、球数を投げさせたりする作戦を取る高校も出てくるだろう。各校は選手起用、采配にも頭を悩ませることになりそうだ。

 現場では「春はまだしも、夏は酷暑と豪雨が当たり前となった今、京セラドームや東京ドームを使った方が理にかなっている」との声もある。「選手ファースト」の名のもとにルールを定めておきながら、甲子園球場での開催にこだわることでむしろ、主催者や球児の首を絞めているのが現状だ。

宮崎商でクラスター

 コロナ対策も限界に来ている。

 高野連はプロ野球やJリーグの知見も得ながら甲子園や全国の地方大会の「ガイドライン」を作成。無観客で開催し、出場校の選手、監督らに大会前、初戦勝利後、準々決勝勝利後の最大3回、PCR検査を実施するなどして、大会を遂行しようとしている。

 しかし、全国の49校が緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されている大阪、兵庫で一堂に会する影響か、複数の学校でコロナ感染者が出ている。中でも18日に智弁和歌山(和歌山)との初戦を控える宮崎商(宮崎)は16日、選手ら5人の感染が判明した。これまで作新学院(栃木)は3人、東北学院(宮城)は1人がコロナに感染している。

 宮崎商に関しては感染判明から試合日まで間隔が空いていた分、保健所の判断を待っての試合可否決定ができるが、過密日程が待ち受ける2回戦以降はそうもいかない。翌日に試合を控える学校に感染者が出た場合、対応が間に合わず、辞退に追い込まれるケースもあり得る。

「全79校の全選手が参加することになった開会式にも原因があるのでは」 とは、関西地方の強豪校監督。

「センバツは初日に出場する6校のみで入場行進を行い、開会式に出ない学校は甲子園入りする日程を選べた。しかし今夏は開会式に合わせて出場49校の全選手が感染爆発する大阪や兵庫に移動。雨天順延も重なり、危険地域に長期間缶詰めにされたことで一層、感染リスクが高まっているのではないか」

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https://news.yahoo.co.jp/articles/a8b1a892c97eb69421f86bfdfe612e1b8686eaaf