https://news.yahoo.co.jp/articles/0c2bdddecd55c6060c1b985a6f799a89f56003d1

■五輪その国の“芸術力”のショーウインドーでもある

 すったもんだのオリンピックが終わった。コロナ禍で精いっぱいの健闘をされた選手の皆さんには敬意を表したい。しかしながら開閉会式の中継を見て覚えたのは、「オリンピックはすっかり広告代理店が仕掛ける学芸会になってしまった」という諦念である。

 今回は閉会式で「天皇も参加する〇×クイズ」の演出案があったという週刊文春の記事には心底あきれたが、それがなくてもあの支離滅裂な学芸会は日本のダサさと思考停止ぶりを世界に知らしめてしまった。

 案内役の女性たちのマタニティーウエアのような衣装も意味不明である。日本は三宅一生さんや山本耀司さんら気鋭のデザイナーが画期的なセンスで世界を驚かせたファッション先進国ではなかったのか? このダサさはもうどうしようもないと思った。

 自衛隊が毎年行う「音楽まつり」には、礼服姿の防衛大学の学生たちが出演する。これが実に格好いい。閉会式の国旗掲揚には選りすぐりの防大の学生や自衛隊の儀仗隊を出せばよかったのにと思う。世界へのとっておきのプレゼンにこそ見目麗しい人材を投じ、日本人の凛とした美しさを見せるべきだった。それに比べてパリの次回大会のアピールは素晴らしかった。完全に日本は負けていた。

 かつての日本人には、あえて崇高で難しいテーマに取り組み、わからないことを理解しようとする気概があった。そのための努力をいとわなかった。それがこの国を発展させてきた一因のはずなのに、いつのまにか私たちの中から抜け落ちた。代わりにはびこっているのは、流行やウケのよさや実利ばかりを優先し、安直な方向に流れる広告代理店的で商業主義的な発想だ。

 オリンピックはスポーツだけではなく、その国の“芸術力”のショーウインドーでもある。今回の開会式と閉会式で、もはや日本が尊敬に値する国ではないことを、私たちははからずも世界にアピールする結果となった。

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