大相撲の横綱・白鵬が、東京五輪の柔道を日本武道館で7月27日に観戦したことが判明して大きな反響を呼んだ。国際柔道連盟のマリウス・ビゼール会長が翌日、公式ツイッターに男子73kg級金メダリスト大野将平選手と白鵬との3ショットをアップしたためSNSで一気に拡散された。

 モンゴル出身の白鵬は同国五輪委員会のアンバサダーを務めており、同国の関係者パスで入場したとみられる。柔道の会場は原則無観客で開催されているのに加え、新型コロナウイルスの影響で力士や親方は不要不急の外出を禁じられている。場所後1カ月間は外出可能だが、原則として師匠の許可や日本相撲協会への申請が必要になっている。報道によると、白鵬は申請書を出していなかったという。

 報道によると、日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「事情聴取する必要はないよ。行っちゃってんだから。事情聴取も何もあったもんじゃない。何を勘違いしてるのか、大きな間違いをしてるんじゃないか、ということだ」と不快感を露わにしていたという。一方、脳科学者の茂木健一郎氏は8月3日に自身のツイッターで白鵬の行動に言及。「どんな事情で行かれたのかを精査せずに決めつけるのは、単なる差別だと思う。日本相撲協会は、白鵬関のことに関しては本当にひどい。横綱審議委員会については言うまでもない。偉大な横綱に対するリスペクトや、多様性の尊重がない。出るところに出たら、アウトだと思う」と協会側の対応を批判した。

 スポーツ紙の元相撲担当記者は、「白鵬の行動や土俵での振る舞いや批判的な声があがると、『モンゴル人だから差別されている』と指摘する人がいますが違和感を覚えます。日本人力士が同じ行動をしたらもっと叩かれているでしょう」と話す。

「白鵬は今回の件で相撲協会に申請書を出したらダメと言われるのは分かっているし、なんで自分ばかり…と思っているでしょう。復活優勝でやりたい放題になっています。でも、自分の中で筋は通っているし決して悪い人間ではない。問題は白鵬だけでないと思います。若い時からビシッと部屋で指導して、相撲協会も厳重注意で済ませず、もっと厳しい処分を下していたら態度や行動は変わっていたと思います。正直、弱腰すぎますよ。腫れ物みたいに扱うからこういうトラブルが起きるのではないでしょうか」

 白鵬は6場所連続の休場明けで進退をかけた7月の名古屋場所で全勝優勝を飾り、完全復活を印象付けた。だが、相撲内容やガッツポーズや雄たけびをあげる土俵での立ち振る舞いを横綱審議委員会から酷評された。また、立ち合いに相手力士の顔面への張り手と右肘をかち上げるかち上げに、SNS、ネット上で、「白鵬には相撲道・武士道の精神がない、他の外国人力士には見受けられない相撲道精神に反する相撲が多すぎる。肘打ち、激しい張り手連発、だめ押し、不必要と思える立ち会いの待った、無作法なガッツポーズと、目に余る行為が多すぎる。日々精進して鍛練していると聞くが、土俵上では名横綱とは思いたくはない(原文ママ)」、「大横綱相手に立ち合いで張り手やエルボーをできる力士はいないからな。それに甘えて白鵬だけがやりたい放題なのはフェアではないよ(原文ママ)芝田山」など批判の声が殺到した。

「相撲協会は『悪質なかち上げはケガをさせる恐れがあるので反則負けにする』と明文化するべきでしょう。力士の品格に委ねるべきと明文化に反対する声はあると思いますが、日本人以外の力士も増えてきて、外国人力士は相撲の伝統やしきたりの感覚が分からない部分もあると思います。明文化すれば、危険行為は反則負けになる。『横綱だから』と及び腰になるのではなく、相撲協会が毅然とした態度を示すべきです」(前出のスポーツ紙記者)

 白鵬は実績だけを見れば「史上最強の横綱」だが、評判は凋落の一途をたどっている。相撲人生はそう長くはない。自身の行動を見つめ直す日は来るだろうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/fd30faeeb216f8829ad30a32bc393cb8fa06f703