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https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84134?page=2
日本人に染み付いた「バックパス文化」

そんなヴァイスも、日本のサッカーに警鐘を鳴らす。

「僕が信じられないのは、バックパスが多すぎる点です。特にゴールを背にしたFWの選手がパスを受けて、簡単に味方に下げてしまう。ブラジルではまず見られない光景です。いくらDFを背負っていてもFWならば、ターンしてシュートを打ちます。小さな子供だってそうしますよ。どのポジションの選手も、常にゴールを意識しています。ゴールに向かってシュートするのがサッカーの基本じゃないですか。『何をやっているんだ!』と叫びたくなりますね。

ヴァイスもまた、バックパスを得意とする日本人選手が大量生産された理由として、シュートを外すと怒鳴られる日本の小学生の現状を嘆く。

日本の子供たちも、ブラジルに憧れている子が多いですよね。ならば、セレソンの選手がシュートを外しながら、何度も失敗を重ねてあそこまで辿り着いたことを忘れないでください。そして、どんなに監督に罵声を浴びせられても、自分の信念を曲げない強靱な精神と、ファールされても簡単には倒れない身体を作ってもらいたいです」

ジーコは当初、日本の指導法に面食らったそうです。選手はコーチに命じられた通りに動かねばならない。でも、試合では予期せぬことが起こる。習ったことしかできない日本人選手には、独自の発想がない。想像力がない。また、試合中、周囲に指示が出せない。角が立つと感じてしまうのか、主張がない」

「代表に選ばれるほどの選手には、多くを語る必要が無いという判断だったのです。手取り足取り教えなくても、適応可能だろうと。ジーコ自身がフラメンゴに在籍していた1978年に、コウチーニョ監督から『私は選手を信じている。だから、グラウンドに立ったら、お前たちの判断でゲームを作れ』と言われていますから。

ドイツ・ワールドカップのクロアチア戦前に、日本代表の主将だった宮本恒靖の、『守備は引いて守るのか、前からアタックしていくのか、監督が決めて選手に伝えてほしい』なる発言に失望したんですよ。4年間率いて来て、この期に及んでそんなことも選手間で決められないのか。ワールドカップを戦うプロの集団が後の無い状態に追い込まれて、いまさら指示を仰ぐのか、と。結局、自分で考えてプレーし、チームのために各々が意見を交わしてまとまる、ということができなかったのです。僕が聞いても、宮本の発言はとてもプロとは思えません。ブラジル人にとっては、お笑い草でしかありませんよ。宮本の一言は、ジーコが持っていたナショナルチームの概念を粉々に壊してしまったのです」

出水中央高校の暴力監督の映像には、ヴァイスの目も点になった。

「これはトレーニングではなく、犯罪です。彼は何一つ、サッカーが分かっていません。
もしブラジルで同じことが起きたら、逮捕されて永久追放です。どうすれば選手が伸びるか、モチベーションが上がるか、闘えるか、の知識があるからこそ、コーチの職に就けます。ブラジルでだって、日常的に選手はミスをしますよ。そこでコーチは『どうして、そこにパスを出したの?』という風に選手に原因を考えさせます。それがコーチングじゃないですか。
馬の手綱のように暴力を用いて選手
人間がいるうちは、日本のバックパス文化は消えないでしょうね。大変、心が痛みます。それにしても、この男は一体どんな教育を受けたのでしょうか」