サンスポ2021.5.22 05:03
https://www.sanspo.com/baseball/news/20210522/tig21052205030005-n1.html

 阪神電鉄と阪神タイガースは21日、2軍本拠地移転を目指し、兵庫県尼崎市と基本協定を締結したと発表した。場所は阪神大物(だいもつ)駅近くの小田南公園で、2025年の移転を目指して、誘致に動いた同市と協力して整備を進めていく。整備イメージ図も、阪神が初めて公開。常勝軍団を構築すべく、課題となっていた2軍施設の充実を目指す。

 ついに正式に動き出した。総工費およそ100億円を投入する、新たな“虎の穴”だ。阪神が2軍本拠地移転を目指し、尼崎市と基本協定を締結したと発表。球団広報部は「練習環境を充実させて、より育成の強化をする。その育成の強化を加速させ、強い常勝チームを作るというところが今回の目的です」と、説明した。

 「(メイン球場は)実現すればですが、現段階では約3000席を想定しています。(総工費は)約100億円を予定しています。タイガースとしては練習環境の充実がここ数年の課題であった。われわれの課題と一致して改善できるものだったという流れです」

 1995年から西宮市の鳴尾浜に構える「タイガース・デン」は老朽化に加えて、室内練習場も手狭。メイン球場の収容も500人と少ない。他球団と比較しても、充実した環境とはいえない状況であった。尼崎市からの誘致はまさに渡りに舟で、地域活性化も図れる同市と思いが一致した。

 新たな2軍本拠地となる「小田南公園」は、大物駅から徒歩でおよそ5分。大物駅は尼崎駅から1駅、徒歩15分と利便性についても問題ない。

 この日は、整備イメージ図も阪神側から初めて発表。北側の公園供用部分には、約3000席のスタンドを完備したタイガース野球場にタイガース練習場、一般市民も利用できる小田南公園野球場(いずれも仮称)などを阪神電鉄が建設し、それらを尼崎市に寄付。同市が営業権を阪神電鉄に付与する形になる。

 また、阪神なんば線の線路を挟んで、南側には、室内練習場や選手寮兼クラブハウスなどが作られる予定。1人でも多く、1軍で活躍する選手を育て上げるため、巨額の費用を投じる計画が本格的に動きだす。

 今後は尼崎市の市議会での承認を得たのち、2022年12月に着工予定。球団創設90周年となる25年2月からの供用開始を目指していく。

 16年ぶりの優勝へ向けてセ・リーグ首位を走るチーム。主将の大山、選手会長の近本はともに今季27歳だ。そこに打ではD1位・佐藤輝(近大)、投ではD2位・伊藤将(JR東日本)ら新人が開幕から活躍。高卒2年目の西純も19日に初勝利を挙げた。若い力も順調に育ってきている。

 常に優勝を目指すチームにするには、次々と新たな世代を担う逸材を育てていくことが不可欠。充実した新しい環境のもとで「常勝の虎」を作り上げる。

 ◆新たな営業構想も

 球団は尼崎移転が実現すれば、ファームを軸とした営業構想を温めている。これだけの人気球団になりながら、鳴尾浜では有料試合を開催出来ず、長く営業機会を逸してきた。掛布2軍監督時代は甲子園での2軍戦で1万人近い観客を集めたこともある。

 阪神電鉄本社がこだわっていたのは、立地が阪神電鉄の沿線であることだった。阪神本線となんば線に挟まれた地域にある小田南公園への誘致はまさに神の声。沿線活性化と球団営業強化の一挙両得を目指していく。