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新日本プロレス最高峰のIWGPヘビー級選手権が今年3月に「世界」を加えて新装されたが、38年の伝統を誇った旧王座が初めて他団体に流出しての防衛戦が復刻される。1996年3月1日に行われた王者・高田延彦(UWFインターナショナル)と挑戦者・越中詩郎(平成維震軍)のタイトルマッチ(東京・日本武道館)が「UWFインターナショナル伝説シリーズ」(クエスト)として20日に発売。25年の時を経て初めて完全版DVD化された伝説のIWGP戦を見た。

 新日本プロレスを中継するテレビ朝日や動画配信サービスNJPWワールドでは、決して見ることができなかったIWGPヘビー級選手権がDVD化される。

 95年10月9日、新日本とUインターの全面対抗戦(東京ドーム)で武藤敬司に敗れた高田は、96年1月4日(同)のリマッチでIWGPヘビー級を初奪取も、4月29日(同)に橋本真也に敗れて王座を失ったが、その間にホームリングで初防衛戦を行っていた。

 相手はかつてIWGPジュニアヘビー級王座を巡って名勝負を繰り広げた“侍”越中で、階級をヘビーに変えて8年ぶりのシングルマッチという注目のカードだった。だが、テレビ中継されなかったことで、その後、語り継がれることはなかった。

 制作・発売のクエストは、武道、格闘技、アート、演芸の映像ソフト約1200本のラインアップを誇る老舗。新日本から84年に独立した旧UWFにテレビ中継がつかなかったことから、その旗揚げ戦(84年4月11日・大宮スケートセンター)を収録したビデオテープを発売した。これが世界初のプロレスビデオといわれている。ノーテレビを逆手に取って、新生UWF(88〜90年)ではプロレスビデオのブームを作り、91年旗揚げのUインターもビデオ化してきた。

復刻シリーズ《10》伝説シリーズ《7》 Uインターの大会を丸ごと収録したDVDは17年から復刻シリーズとして10巻、昨年11月からスタートした伝説シリーズは、今回の7巻目にして隠れていたIWGP戦にたどりついた。

 新生UWFのフロント出身で、当時は制作部長だったクエストの山口一也社長(58)は「今回の伝説シリーズでIWGPのタイトルマッチがUインターで実現していたことを再認識しました。坂口征二さん(当時の新日本プロレス社長)がリングに上がって認定宣言を読んでいて、主催のUインターが映像の権利を持っているんですね」と感慨深げに語った。

 サンプルを見せてもらった。会場入りコメントから試合後インタビューまで収録されている。高田のハイキックに越中はヒップアタックで返す。アナウンサーによる実況がないため、リングがはずむ音、観客席からのヤジも含めて臨場感が伝わる。報知新聞社ではこの大会を後援し、勝利者賞のトロフィーを贈っており、そのセレモニーまで映っていた。

 当時、この試合をリングサイドで取材したが、25年たって映像を見て、記憶違いに気づかされたり、新たな発見もあった。高田の付き人だった桜庭和志がIWGPのベルトを持って寄り添う姿は、当時は気にも留めなかったが、今では歴史的場面に見える。前王者の武藤敬司がUインターに初登場したアンダーカードも見逃せない。ステイホームのご時世に、ぜひ見ておきたいIWGPの裏面史だ。(酒井 隆之

5/16(日) 12:00
配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/acecd048e9e0b876b011a3aaf424e6d01b69d940

https://youtu.be/qzuwoDW8gPk
越中詩郎 テーマ曲