0001征夷大将軍 ★
2021/05/12(水) 06:41:56.70ID:CAP_USER9https://4years.asahi.com/article/14340837
土グラウンドに苦しめられてきた日々
僕は現在4年生なのだが、今が一番練習が楽しい。ステップが踏みやすく、ボールも服も汚れないし、なにより雨の日も練習できる。練習後のグラウンド整備もしなくていい。これらは全て、僕が所属するアメリカンフットボール部が活動するグラウンドの人工芝化が実現したことによる恩恵である。茶色くて砂ぼこり舞うあの見慣れた土のグラウンドが一面緑の映える練習場になるなんて、自分が入部した時には想像もしていなかっただけに、見るだけで日々胸が躍る。
かつての土グラウンドでももちろん十分に練習はできていたが、どうしても弊害があった。まずは感染症。「感染症って何?」と思う方々がほとんどであるだろうし、僕も最初聞いた時はとても驚いた。
長い間、同じ土グラウンドで活動していたこともあり、僕たちのグラウンドの土は衛生状態が悪く、けがの切り口に付くと病原菌が入って膿(う)んでしまうらしい。僕が1年生の時に先輩が切り傷で何針か縫った際、「感染するからグラウンドや更衣室に来るな」と言われていて驚いた記憶がある。
次に「こだ虫(コダチュウ)」の大量発生。毎年少し暑くなってくると、土グラウンドで、かつ雑草がたくさん生えるため、蚊のような虫が大量に発生するのだ。たくさん刺されてかゆいのだが、普通の蚊に刺された時よりも腫れが大きくかゆみも強いので、グラウンドのある小平の虫ということで「こだ虫」と呼び、みんな被害を訴えていた。
更に大雨が降ると湖ができる。水はけも悪く、一度大雨が降ると一週間は水が残っていて、フィールドを広く使った練習ができなくなる。写真はまだましな方で、もっとひどい時も多々ある。僕が入学する前は、水をスポンジで吸ってバケツに絞ってということをずっと繰り返していたらしい。
こんな前時代的な土グラウンドがこのたび、人工芝化に至った経緯や動きについて述べていきたいと思う。
構想10年、1.5億円を目指してスタート
先述したように様々な弊害があった土グラウンドであるが、最も大きな問題としてはアメフトの試合は人工芝グラウンドで行われるのに土で練習していること、そして雨で練習機会が減ることの2つがあげられる。また、一橋大の他の体育会は人工芝グラウンドをもっているため、新歓の際にウィークポイントになっていた。
これらの解決のため、人工芝化の構想自体はOBOG会で10年ほど前から議論されていたが、金額が莫大であったり、隣接する土グラウンドを使っているア式蹴球部との調整が必要なこともあったりと、具体的なアクションがなかった。
長年検討が続く中、2019年、ついにアメフト部とア式蹴球部のOBOGが中心となり、人工芝化プロジェクトがスタートした。アメフト部は同年7月から寄付募集を開始した。目標金額としては両部7500万円ずつ、計1.5億円を目指し動き始めた。
学生自身がプロジェクトの思いを伝え、感謝を伝える
恥ずかしながら、寄付を開始した当初、僕は「なんとなくプロジェクトが始動したのだな」という感じだった。当時は3年生。人工芝化が実現した場合、僕はラストイヤーを人工芝で練習できる。そう考えるとワクワクしたのと同時に、実際に恩恵を受けるのは学生であり自分であるのだから、なんとなく人工芝になったというのでは違うと思った。そう考えていた時に、西澤正章ゼネラルマネージャーが部内で人工芝化プロジェクト推進の有志メンバーを募ってくださったので、自分は迷わず参加を決め、20年4月からOBOGとともにプロジェクトの活動に加わった。
プロジェクトの中で、現役部員は主にSNS広報、部内広報、お礼状作成の3チームに分かれて活動を行った。僕が取り組んだのはSNS広報である。現役部員が部活に対する思いや活動内容を文章にしてFacebookのOBOG会ページに投稿し、寄付のお願いをする活動である。
この取り組みを始める前、「現役はどう思っているの?」「実現したらメリットを受けるはずの現役の声が聞こえてこない」という声が、一部のOBOGから出ていたと聞いた。目標金額の寄付を集めるには、定期的にチーム活動に携わってくださるOBOGだけでなく、引退以来しばらくチームから離れているOBOGからも寄付を募る必要があり、現役部員が直接文章を書くことで関心を持っていただこうという狙いがあった。そのために部活動のことだけでなく、最近の学生生活についてやアメフトの戦術面についてなど多岐にわたる内容を投稿した。僕が実際に書いた文章がOBOGの心を動かし寄付につながったかもしれないと考えると、とてもうれしく達成感も大きい。
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