4月4日の記事「科学的に見て『送りバント』は有効な戦術なのか」は、記事の公開直後から大きな反響でした。多くの方が野球に関心を持ち、同じように「送りバントの是非」について疑問に思っておられたようです。

でも、野球には「送りバント」以外にもまだまだ、「なんで?」と思ってしまう不思議な疑問がたくさんあります。こんな疑問に「科学的な見地」で答えたのが『野球の科学 解剖学、力学、統計学でプレーを分析!』です。

「ピッチングを科学する」「バッティングを科学する」「統計で科学するセイバー・メトリクス」の3章で構成される本書から、今回は、「なぜ日本人投手はMLBでひじを壊すのか?」に迫ります。
 これまで多くの日本人投手が海を渡り、メジャー・リーグのマウンドに上がりましたが、確かに多くの投手がひじを痛める経験をしています。大谷翔平投手もそうですが、過去には藤川球児投手(カブス、レンジャーズ)や和田 毅投手(カブス)は、当番の機会が少ない状況でひじを痛め、手術をしていました。

 こうした背景にはさまざまな要因が考えられますが、アメリカのメジャー・リーグと日本の多くの野球場の違いから考えられるのは、まず大きなものとして「マウンドの違い」が挙げられます。

 数年前まで、日本の多くの野球場のマウンドとメジャー・リーグのマウンドでは固さが違ったのです。メジャー・リーグの球場はほとんどが天然芝で、フラットな内野です。このため、マウンドを盛り上げるために、外からマウンド用の土を持ってきて山を作ります。これにより、土質も固めやすい粘土質のものが好まれます。とくに最近のマウンドは、ステップ位置にブロック状の固い粘土を敷き詰め、踏み込んだ足がズレず、埋まらずといった特徴が見られます。

 一方、日本の多くの野球場の場合、内野が土であることが多く、マウンドをつくるときも、その土を周りから集めるように盛り上げていきます。そのため内野の土とマウンドの土の質が変わらず、砂混じりの土が多く含まれています。

 このマウンドの特徴は、踏み込んだときに脚がズレて、埋まっていくようになるということです。よく投手が登板したときに、マウンドをスパイクで掘っていることがありますが、これはステップした脚がなるべくズレないように、より固いところを掘り出しているのです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5c7e8f1ceb95fcc0b6f8f60c3c1fc9f6f0ef082b
5/1(土) 15:01配信