0001砂漠のマスカレード ★
2021/03/04(木) 05:11:08.57ID:CAP_USER9無人の左翼スタンドから、打球の弾む鈍い音が響いた。五回、内川が内角への直球をさばき、移籍後“1号”となる名刺代わりのソロをたたき込んだ。
「大きい当たりよりも、芯で打ってヒットを打ちたいなと思っていました。角度がついて、結果(的に)ホームランになってくれました」
関東近郊で行われた今季初の有観客試合。内野席に集まった4825人へ、背中の「7番」を印象づけるようにダイヤモンドを一周した。それまで打線は無安打だったが「1本出てチームの流れが良くなれば」と集中力を高め、1ボールから井納の速球を一閃。チームのオープン戦1号にもなった一発で流れを呼び込んだ。
ベンチに戻ると宮本、山崎、塩見ら若手野手にソフトバンク時代から“お約束”の顎タッチを求められ「やるなら思い切りやれよ!」と笑顔で反応。後輩からも「ウッチー」と慕われる38歳のノリノリの姿に、笑顔の輪が広がった。「若い選手たちが遠慮せず、どんどん来てくれると僕自身もうれしいし、チームをいい方向に持っていけるように」。通算2171安打を誇る男の心意気を呼び水に、打線はそこから得点を重ねた。
昨季は世代交代を図るソフトバンクで1軍出場の機会を得られないままシーズンを終えた。年俸は2億5000万円から5000万円にダウン。「もうひと花咲かせる」と決意した38歳は飾ることなく、ありのまま新天地で勝負をかける。
キャンプでは、室内練習場で朝8時前から一人黙々とストレッチに取り組む姿が見られた。「今日はどういう部分を注意しようか考えている」。この約30分間のルーティンに、衰えを知らない打棒の秘密の一端がある。
打線の核として重要な役割も託される。昨季は村上が全試合に4番で出場した一方、続く5番を最後まで固定できなかった。村上が打率・307、28本塁打、86打点と文句なしの成績を残したのに対し、先発5番の成績は・236、11本塁打、51打点。2年連続でリーグ最下位に沈んだ一因となった。
高津監督は内角球を捉えた打撃技術に「さすが」とうなり「5番が打線の鍵、課題になっていたけど、今の時点では内川がしっくりきている感じ」と明言した。三塁候補でメジャー通算24本塁打のオスナ(前パイレーツ)はコロナ禍による入国制限で来日のめどが立っておらず、内川の存在はより不可欠といえる。
ソフトバンク時代の2019年以来となる開幕スタメンが近づくが、内川は「このままいけばという条件はついている。責任を果たせるように頑張らないといけないし、現時点ではプレッシャーしか感じていません」と襟を正した。燕の浮上へ、重要なピースが埋まろうとしている。(赤尾裕希)
https://i.imgur.com/nJtpTHU.jpg
3/4(木) 5:00
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210304-00000529-sanspo-base