0001Felis silvestris catus ★
2021/03/03(水) 17:34:13.95ID:CAP_USER9シリアで武装組織に拘束されていたジャーナリスト、安田純平さんが現在、国を相手取った裁判を東京地裁に起こしている。拘束中にパスポートを没収されたため、帰国後に再発行を申請したところ、外務省に拒否されたからだ。
ここまで聞くと、「わざわざ紛争地域まで行って、拘束されて、政府に迷惑かけたのだから、パスポートを発給されなかったのは、当然の報いだろう」と考える人も少なくないかもしれない。
しかし、外務省は「安田さんが、トルコから入国禁止措置(5年間)を受けたことで、旅券法13条1項1号のパスポート発給制限の対象となる」(※1)と説明している。あくまで「迷惑をかけたかどうか」ということは、問われていないのだ。
安田さんは、(@)トルコから入国禁止措置を受けた事実はない、(A)外務省がパスポートを発給しなかったのは、憲法に違反する、(B)トルコの入国禁止措置があったとしても、旅券法13条1項1号は違憲無効である――などと主張している。
今回の訴訟について、安田さんに詳しく聞いた。
●「入国禁止措置を受けた事実は示されていない」
――どういうことを主張しているのか?
ざっくりといえば、旅券法13条1項1号(※2)は、ある1つの国から入国禁止措置を受けた人は、ほかのすべての国に行くことができなくなる、という条文です。
しかし、私がトルコから入国禁止措置を受けたという事実・根拠は示されていません。それなのに、パスポートの発給を拒否できるというのであれば、国は自由に渡航制限ができるということになります。
また、たとえトルコから入国禁止措置があったとしても、ほかのすべての国に行けないというのは、おかしいでしょう。前提となる事実や憲法の観点、そして旅券法13条1項1号という法律ができた経緯から、発給拒否は不当なものだと主張しています。
――トルコから入国禁止措置は受けていないのか?
私は2018年10月、シリアで解放されたあと、トルコ経由で帰国しました。その際、トルコ側から一切そのような事実は知らされていません。ところが、日本の外務省によると、トルコを出国するまさにその日、入国禁止措置を受けたことになっています。
私と一緒に帰国した外務省・邦人テロ対策室の人ですら、そんなことを知りませんでした。本人に入国禁止措置が知らされていないのは、異常でしょう。やはり、「あとづけ」の理由としか考えられません。
●「独裁国家のやっていることだ」
――旅券法13条1項1号はどういう経緯でできたのか?
もともと、旅券法13条1項1号は、特定の渡航先に1回限りで効力を有するパスポート(一往復旅券)を発給していた時代の名残です。渡航先からビザ(査証)を得られなかった場合、その人が時間と費用を浪費してしまうから、それを防止するためにつくられたものでした。
現在は、社会情勢も法律も変わって、一往復かぎりのパスポートは発給されておらず、すべて一定期間何度も使えるパスポート(数次往復旅券)となっています。もはや、何のために存在している条文なのか、まったくわかりません。
――どうして、旅券法13条1項1号は存在しているのか?
この条文がなくなると、国は、実質的な取材制限ができなくなるからだと思います。とても簡単に渡航制限できる手段として残しているわけです。ジャーナリスト以外にもこの条文が適用されるケースがありました。ほかの人たちにも広がっていくと思います。
パスポートは「運転免許証みたいなもの」だと考えている人もいるかもしれません。しかし、運転免許証は「あとから身につけた能力の合格証」です。しかし、身分証明書であるパスポートは基本的には、発給することが前提になっています。
そのときの政権にとって、望ましい人には発給して、望ましくない人には発給しないということになると、思想・信条に制約を加えることにつながっていきます。要するに、独裁国家がやっていることです。
(略)