2019年2月に白血病を公表した池江は、昨年8月に約1年7か月ぶりに復帰した。当初は「24年パリ五輪」を目標に掲げていたが、五輪会場の東京アクアティクスセンターの完成式典などを経て「チャンスがあるなら」と日本選手権の参加標準記録切りに挑戦。今回の北島康介杯で有言実行の泳ぎを見せた。
しかし、当の本人は「後半は焦りがあってうまく泳げなかった。4番はすごく悔しかった。レースを泳いでみてチャンスはあるのかなって疑問が生まれた。勝負の世界って甘くないんだなって痛感した」と唇をかんだ。日本選手権の出場も「ほぼ出る、と思います」と明言を避け「勝ち負けにこれからこだわっていかないといけない立場になる。練習中から東京五輪を目指すわけではなく、とにかく目の前にいるチームメートに勝つだとか、そういう細かいことを集中してやっていきたい」と話すにとどめた。
池江の心境について、岩崎氏は「やっぱり(日本選手権に)出るからこそは本人も(代表の座を)狙いたいと思っているのではないでしょうか。でも、まだまだ五輪でリレーメンバーで入れるようなタイムではないので、そことの葛藤があると思う」と語った。とはいえ、400メートルリレーの派遣標準記録(54秒42)まで残り0秒93。「可能性はある。だから池江選手もチャレンジしたいと思う。個人は難しくとも、リレーだったらもしかしたらっていうのがあると思う」と期待を寄せた。
では、奇跡を起こすためのカギはどこにあるのか。岩崎氏は体力面にあると分析。「やっぱり練習をかなり積んでいないと、後半に絶対バテてしまう。レース展開でも前半からバーッといけないのはそういうところだと思う」。実際に予選、決勝ともに前半はスローペースでスタート。決勝の50メートル時点では、10人中7位と出遅れていた。さらに「100メートル自由形で一応(リレー出場枠の)4番までに入るって思っていたら、リレーメンバーには入れないと思う。やっぱり優勝争いをしていかないとって思うことが必要」と指摘した。
池江も予選の泳ぎを「なかなか前半から客観視した感じで、すごくゆっくり泳いでいる感じだった」と振り返るなど、課題は理解済み。週4日だった練習を年明けからは週5日に増やして、さらなるレベルアップを目指している。「あとは上っていくだけ」。どん底を味わったヒロインが着実に復活ロードを歩んでいる。
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2021年1月25日 5時15分
東スポWeb
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