巨人がキャンプイン前になってOBの桑田真澄氏(52)の1軍投手チーフコーチ補佐の電撃就任を発表した。15年ぶりに古巣復帰した桑田氏の入閣を巨人OBでヤクルト、西武で監督も務めた広岡達朗氏はどう思ったのか。辛口の大御所に見解を聞いた。

「なぜ15年間も在野にいたのか」
 桑田氏の入閣はまさに仰天人事だった。通常はオフの新組閣時に翌年のスタッフ構成は決まる。年明けの追加人事はあまり例はない。しかも、巨人の投手コーチは空き家だったわけでなく、宮本和知チーフコーチ、2軍から昇格した杉内俊哉の2人体制で固まっていた。さらに桑田氏は、2006年に退団以来、15ぶりのユニホーム復帰で初のコーチ就任である。
 広岡氏の受け取り方も「なぜ?」だった。
「15年間もユニホームを着ていなかった桑田が、いまさらなぜなんだ? おかしいなと思ったのが、このニュースを聞いた第一印象。キャンプ前のタイミングといい、彼を入れた理由がよくわからないし、そもそも15年間もなぜ在野にいたのかもわからない」
 記者会見での経緯説明によると、原監督にとって桑田氏は気になるOBであり、年末に山口オーナーと会談した際に、申し入れをしてOKをもらったとのことだったが、広岡氏が疑問を抱くようにタイミングも含めて不透明な部分は多い。
 まして広岡氏は巨人OBゆえになおさら疑問がある。
「次期監督含みで呼んだとの憶測もあるが、本当のところは何も読めないしわからないね」とも言う。
 だが、桑田新コーチへの期待はある。
 広岡氏の持論は「コーチは日々勉強せよ」である。
 桑田氏は2008年にマイナー契約の招待選手でスタートしたパイレーツの春季キャンプでロースターから外れ、メジャー2年目の挑戦に失敗すると、そこで引退を決め、その後、早大大学院のスポーツ科学研究科修士課程、東大の大学院では特任研究員として動作解析について学ぶなど、評論家活動と並行して指導者となるための準備を進めていた。その行動は広岡氏の理想のコーチ像のはずである。

「ソフトバンクに4連敗した日本シリーズを見ていればよくわかる。菅野に次ぐ第2戦の先発に今村を立てなければならないようでは苦しい。外国人を絡めてシーズンを通してやりくりはしたが、今年のジャイアンツで育った投手は戸郷くらいなもの。つまりピッチングコーチが仕事をしていなかったということなのだ。その意味で、そこに桑田を置いた理由はわかるし、彼の手腕には注目をしている。彼は苦労して自分自身を磨いた。早大や東大の大学院が教えているような野球理論で勝てるような簡単なものではないが、どこまでやるか、どんなアドバイスを送るかに期待感はある」
 広岡氏は、現役時代の桑田氏が投球後にすぐ第9の野手として捕球動作に入ることを忘れていなかったことが印象に残っているという。
「プロでも忘れがちな基本を桑田はできていた。基本がいかに重要かということからしっかりと教えるんじゃないか、という期待がある」
 そして広岡氏には、もうひとつ桑田氏の入閣による楽しみな波及効果があるという。
「桑田が加わることで、まるでタレント軍団のようなコーチ陣に、刺激や危機感を与える可能性がある。桑田氏の性格から考えると遠慮せずに我が道を行くだろう。その桑田氏の指導がプラスと出れば、オレたちも負けていられない、オレたちもウカウカしていられない、と他のコーチも考えて動くはず。ひょっとすると原には、桑田を加えた狙いに、そういう内部の化学反応があるのかもしれないな」
 辛口の広岡氏にすれば珍しい高評価を桑田氏に与えた。
 だが、不安点の指摘も忘れない。
「桑田にはコーチの経験がない。理論だけでは人を教えることも勝つこともできない。桑田が教えた東大は六大学で勝てたのか、という話。理論は練習量に裏付けされなければならない。テレビを見ていると、彼は“我々の時代はたくさん走って、たくさん投げろだったが、今はテクノロジーの変化で、投げているフォームをコマで見られる”というような話をしていた。練習量よりも理論に走ると危険なのだ。また彼の性格が、他のコーチへの刺激になればいいが、逆に輪を乱すことになるという怖さもある」
 https://news.yahoo.co.jp/articles/35cd9f5e81234a6a17efdc3e00622ac7b188b05d
1/14(木) 6:28配信

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