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都市人がより短頭(広頭)且っ高頭であるに対し、農山漁村民、即ち文化度の低い地方につれて、より長頭或いは狭頭且つ低頭であること、これと併せて古くは文化の中心地域であり先進地方であった近畿地方人が最も広頭且つ高頭であるに対し、
これと遠隔且つ文化的に後進地域である東北・北陸・九州の各地方人がより長頭狭頭且つ低頭であることは、是正しくわれわれの頭径並びに頭型が文化、環境、乃至は知的能カと密接な関係にあることは略々推定されるところである。

近畿地方人は、頭長短く、頭幅並びに頭高大にして、最も短頭且つ高頭型を示し、これを遠ざかる東北・北陸・九州地方人は比較して長頭且つ低頭である。
その中聞に位置する中国・四国・関東地方人は頭径においてもその中間を占め、地較的短頭型に属する。

地方別においては、近畿地方は何れの環境群においても最も高示数を占めているが、就中町と農村においては他の地方のそれに対して格段と高い。
総合比較においても、近畿地方は格別高く他のいずれの地方との間にも有意差を呈している。それに次いで中・四国地方並びに関東が高く、九州・東北・北陸へと遠ざかるにつれて順次低示数を現わしている。

アジア諸民族との比較においては、頭長はその平均値において、中間より梢々大を示しており、他の各径は略々中等位にあるが、その分布幅は広く、何れの種族とも相交錯している。
比較を試みるならば、近畿地方人は朝鮮人に最も類似しており、中国・四国・関東地方人はその中間を示し、東北・北陸・九州地方人はアイヌ人のそれに近いということができる。 附田鎮厦(体質人類学)