「ジャパネット杯 春の高校バレー」として10日まで東京体育館で行われた第73回全日本バレーボール高等学校選手権大会(産経新聞社など主催)は男子が東福岡、女子が就実(岡山)の優勝で幕を閉じた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、無観客で開催された今大会は、女子で強豪ぞろいの東京勢が8強に1チームも残れない「異変」が起きた。大会が現行方式の1月開催となった2010年度以降では初のケースで、大応援団の後押しが得られなかった点や、コロナ禍によるチームの成熟不足に原因がありそうだ。(奥村信哉)

 10年度から3年生も出場できる高校選手権となった「春高」は、男女とも開催地枠を持つ東京勢が埼玉県で開かれた12年度も含め、3校出場してきた。女子は15年度に下北沢成徳、八王子実践、文京学院大女がそろって4強入りするなど東京勢が毎回上位に顔を出してきた。3校とも準決勝進出を逃した14年度(金蘭会、大阪国際滝井=以上大阪、東九州龍谷=大分、柏井=千葉が4強進出)も共栄学園と下北沢成徳の2校が8強入りした。今回は八王子実践が1回戦、文京学院大女が2回戦、共栄学園が3回戦で敗れ、準々決勝に1校も進めなかった。

 “素材”にめぐまれなかったわけではない。現在の高3が中3だった17年の全日本中学選手権(全中)は共栄学園中が準優勝、八王子実践中と文京学院大女中が8強入りし、翌年の全中は文京学院大女中が制している。メンバーの大半は系列の高校に進学しており、共栄学園の小山愛実主将(3年)や文京学院大女の広田あい(2年)は19年の世界ユース選手権で日の丸を背負った逸材でもある。

 東京勢が苦戦した理由の一つとして、共栄学園の中村文哉監督は無観客開催の影響を指摘した。地の利を生かし、ブラスバンドが入ることも多い東京勢の応援は選手を力強く鼓舞する一方、相手チームは気おされることが多い。中村監督は「応援団の力は結構大きい」と話す。

 コロナ禍で例年並みの練習時間が確保できなかった影響も小さくない。感染者数が多い東京勢は制約が厳しく、共栄学園の中村監督は「今までは日曜など一日中練習できたのに、体育館が使えるのは毎日3時間だけ」と明かした。出場各校が苦悩した練習時間や内容への制約は、系列の中学出身者が多く、当時から培ってきた連係を高い水準で磨いて強化を図ってきた共栄学園、文京学院大女、八王子実践にとっては死活問題だった。

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1/11(月) 22:18配信

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